逮捕の経緯
警視庁は、自身が経営する風俗店に女性をあっせんしてもらった見返りに現金を支払ったとして、風俗店経営者の本田誠容疑者(37)を逮捕した。テレビ朝日系(ANN)が2026年10月15日に報じ、ABEMA TIMESやKSB瀬戸内海放送のサイトなどでも配信された。
報道によると、本田容疑者は2026年1月、経営する風俗店に20代の女性をあっせんされた見返りとして、40代の男性に現金およそ15万円を支払った疑いが持たれている。
一方、女性を紹介した側の40代の男性は、女性2人を違法にスカウトした疑いで書類送検された。
報道の時点で、本田容疑者は認否を留保しており、40代の男性は容疑を認めているという。いずれも容疑段階であり、起訴や有罪が確定したものではない。
報道で明らかになった事実関係
確認できた報道の内容を整理すると、次のとおりである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 捜査機関 | 警視庁 |
| 逮捕者 | 風俗店経営者・本田誠容疑者(37) |
| 逮捕容疑 | 2026年1月、経営する風俗店に20代女性をあっせんされた見返りに、40代男性へ現金約15万円を支払った疑い |
| 書類送検 | 40代の男性(女性2人を違法にスカウトした疑い) |
| スカウト料の仕組み | 紹介した女性の収入の1割を、スカウト料として男性に支払っていたとされる |
| 両者の関係 | 15年前に新宿区の繁華街で知り合ったとされる(警視庁による) |
| 認否 | 本田容疑者は認否を留保、40代男性は容疑を認める |
なお、確認できた報道では、店舗の名称・所在地・業種、適用された法令の条文名は明らかにされていない。支払いの時期が改正風営法の施行(2025年6月)後であることや「見返りの支払い」という容疑の内容から、いわゆる「スカウトバック」の禁止規定が適用されたとみられるが、これは当サイトの推測であり、報道で明示されたものではない。
「収入の1割」という報酬の仕組み
今回の報道で目を引くのは、スカウト料が紹介した女性の収入の1割という形で支払われていたとされる点である。
性風俗業界では従来、スカウトが女性を店に紹介すると、店が女性の売り上げや収入の一定割合をスカウト側に継続して支払う慣行が広く存在してきたとされる。女性が在籍し働き続ける限り報酬が入り続けるため、スカウト側には女性を長く・多く働かせる動機が生まれる。この構図が、ホストクラブの売掛金などで債務を負った女性を性風俗店に送り込む問題と結びつき、社会問題化した経緯がある。
逮捕容疑となった約15万円は、報道で示された個別の支払い額であり、両者の間で支払われたスカウト料の総額は明らかになっていない。
「15年来の付き合い」が示すもの
警視庁によると、本田容疑者と40代の男性は15年前に新宿区の繁華街で知り合ったという。
大規模なスカウトグループによる組織的な送り込みとは異なり、今回の事案は報道を見る限り、店の経営者と個人のスカウトとの長年の関係の中で紹介と支払いが行われていた形だ。法改正によってスカウトバックが禁止された後も、こうした個人的な関係を通じて従来の慣行が続いていた可能性を示している。ただし、両者の関係の詳細や、他の店舗・スカウトとの関わりの有無は報道では明らかになっていない。
背景:スカウトバック禁止から1年余り
スカウトバックは、2025年6月28日に施行された改正風営法で新たに禁止された。性風俗店などがスカウトから女性(求職者)の紹介を受けた際に紹介料を支払うことを禁じるもので、違反には6か月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその併科が定められている。
スカウトが女性を性風俗店に紹介する行為自体は、以前から職業安定法(有害業務の職業紹介)で取り締まりの対象になってきた。改正風営法は、これに加えて「払う側」である店にも罰則を設け、スカウトグループの資金源を断つことを狙ったものである。
施行後、店側に対する摘発や行政処分は各地で続いている。
- 東京都内では、スカウトバックの支払いを理由に性風俗店へ120日の営業停止処分が出された(当サイト既報「「スカウトバック」支払いで性風俗店に120日営業停止」)
- 北海道では、スカウトバックの支払いでソープランド経営者が道内初の逮捕となった(既報「「スカウトバック」支払いでソープ経営者を逮捕 北海道内で初」)
- 2026年10月には、東京・吉原のソープランド2店が売春防止法違反で摘発され、警視庁は紹介料の支払いについても風営法違反を視野に捜査しているとされる(既報「東京・吉原のソープランド2店を摘発」)
一方で、禁止後もスカウトバックが「顧問料」などの名目に姿を変えて続いているとの報道もある(既報「禁止されたスカウトバックが「顧問料」名目で高騰か」)。現金でのやりとりは資金の流れが表に出にくく、摘発には支払いの事実と趣旨を裏付ける証拠が必要になる。
今回の事案は、組織的なスカウト集団ではなく長年の知人関係にある経営者とスカウトの間の支払いが立件対象となった点で、規制が個人間の慣行にも及ぶことを示す一例といえる。今後の捜査で、支払いの総額や他の女性の紹介の有無などがどこまで明らかになるかが注目される。
本記事はテレビ朝日系(ANN)の報道(Yahoo!ニュース、ABEMA TIMES、KSB瀬戸内海放送ほか配信)をもとに構成し、改正風営法の内容は各都道府県警察の公表資料等で確認しています。逮捕・書類送検された人物はいずれも容疑段階であり、有罪が確定したものではありません。