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「メンズエステ」を装いマンションで売春 風俗店「煩悩寺」経営者ら男4人逮捕、半年で8000万円売り上げか 警視庁

警視庁保安課は2026年9月9日までに、東京・新宿区大久保のマンション一室を売春の場として提供したとして、売春防止法違反(場所提供)の疑いで風俗店「煩悩寺」経営者の笠原涼太容疑者(26)ら男4人を逮捕した。同店はホームページで「メンズエステ」を装いながら、基本料金15分1万円で女性従業員に売春させていたとされ、前身店舗を含め今年3月ごろから計約8000万円を売り上げたとみられる。女性従業員のうち3人はスカウトをきっかけに入店しており、警視庁は違法スカウトグループの関与も追及する方針。同じ9日には愛媛県松山市でもソープランドとヘルス店の経営者らが同じ罪名で逮捕されており、「場所提供」を軸にした摘発が各地で続いている。

「メンズエステ」を装いマンションで売春 風俗店「煩悩寺」経営者ら男4人逮捕、半年で8000万円売り上げか 警視庁

大久保のマンション一室に「プレイルーム」

警視庁保安課は2026年9月9日までに、売春防止法違反(場所提供)の疑いで、風俗店「煩悩寺」経営者の笠原涼太容疑者(26)=新宿区西落合=と従業員ら男、あわせて4人を逮捕した。産経新聞が9日午後に報じ、テレビ朝日系(ANN)、ABEMA TIMESなども同日相次いで伝えた。

逮捕容疑は、4人が共謀して7月17日、東京都新宿区大久保のマンション一室に「プレイルーム」を設け、同店の女性従業員が客と売春するための場所を提供した、というものである。

同店は、ホームページなどの表向きの表示では「メンズエステ」だった。しかし実態は、基本料金15分1万円で女性従業員に売春をさせるものだったとされる。集客は街頭やチラシではなく、SNSのチャットなどで店のホームページのリンクを紹介する形で行われていたと報じられている。

容疑の認否について、警視庁は明らかにしていない。

8000万円という規模

報道によれば、店側の売り上げは次のように伝えられている。

項目 報じられている内容
営業開始時期 前身の店舗を含め、2026年3月ごろから
売上総額 計約8000万円とみられる
基本料金 15分1万円
分配 売り上げを店側と女性従業員で折半

約半年で8000万円という数字は、単純計算で月あたり1000万円を超える規模になる。マンションの一室という設備投資のほとんど要らない形態で、これだけの回転が成立していたことになる。

「前身店舗」という記述がある点にも注意がいる。屋号を変えて営業を継ぎ、実態としては連続した事業だったとみられることを示唆しているが、前身店舗の名称や、そこでの営業が今回の容疑事実に含まれるかどうかは、現時点の報道からは明らかでない。

なお、売り上げを店と従業員で折半していたという構図は、店側から見れば「取り分は半分」だが、女性従業員から見れば受け取る金額が売春の回数に直結する設計でもある。この点は、後述するスカウト経由の入店と組み合わせたときに意味を持つ。

スカウト経由の3人

今回の事件で捜査当局が重視しているとみられるのが、女性従業員がどう店にたどり着いたかである。

産経新聞によれば、女性従業員のうち3人はスカウトをきっかけに入店していたという。テレビ朝日系も、女性らが違法スカウトから店を紹介された可能性があるとみて警視庁が実態解明を進める方針だと伝えている。

つまり今回の逮捕は、店の摘発そのもので完結するのではなく、送り込む側への捜査の入り口として位置づけられている可能性が高い。

違法スカウトをめぐっては、2025年6月に施行された改正風営法で、風俗店側がスカウトに紹介料を支払う行為(いわゆるスカウトバック)が禁止されている。本件で紹介料の授受があったかどうかは報じられていないが、スカウトグループの関与が確認されれば、職業安定法違反(有害業務職業紹介)や風営法違反での立件に発展する余地がある。

同じ日、松山でも

9日には、愛媛でも同じ罪名の摘発が報じられている。テレビ愛媛によると、愛媛県警は同日までに、松山市のソープランドヘルス店の経営者らを、売春防止法違反(場所提供)の疑いで逮捕した。

  • ソープランド側:松山市南土居町の風俗店経営の男(68)。松山市多幸町の店舗で、2025年7月26日から2026年6月3日までの間、従業員の女性5人が客5人と売春することを知りながら、性交のための個室を提供する営業をした疑い
  • ヘルス店側:松山市上市の風俗店経営の男(48)と従業員の男5人。従業員の女性2人が客の男性2人と売春することを知りながら、性交のための個室を提供した疑い。6人はいずれも容疑を認めているという

県警は、歓楽街の浄化に向けて取り締まりを強化しているとしている。

新宿の「メンズエステを装ったマンション型」と、松山の「昔ながらの店舗型」。形態はまったく違うが、適用された条文は同じ売春防止法第11条の場所提供である。同じ日に東西で並んだこの2件は、いま摘発の軸がどこに置かれているかを示している。

背景:「メンズエステ」という看板の耐用年数

「メンズエステ」は、本来は法的にグレーな余白として使われてきた看板である。性風俗関連特殊営業として届け出れば営業できる範囲、届け出なくても取り締まりにくい範囲、そのどちらでもない範囲が混在し、店側は最も緩い解釈に自分を置くことで営業を続けてきた。

しかし、この2年ほどでその余白は急速に狭まっている。

2025年6月28日に施行された改正風営法は、無許可営業や禁止地域営業への罰則を大幅に引き上げた。個人に対する罰則は「2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金」から「5年以下の拘禁刑または1000万円以下の罰金」へと強化され、法人への罰金も新設されている。2026年2月には、1都4県にフランチャイズ展開していた「神のエステ」グループの15人が風営法違反(禁止地域営業)で逮捕され、8月には幹部2人に法定刑上限の懲役2年が求刑された。

ただし今回の煩悩寺の件で適用されたのは、風営法ではなく売春防止法である。ここに構造的な違いがある。

風営法違反は「どこで・どう営業したか」を問う。届け出、営業区域、営業時間といった形式を整えれば回避できる余地が残る。対して売春防止法の場所提供は、その部屋で何が行われていたかを問う。看板をどう掛け替えても、部屋を用意して売春が行われることを知りながら営業していれば成立する。マンションの一室でSNS集客に切り替えても、この条文からは逃げられない。

もう一つ、今回の事件が浮かび上がらせているのは、買う側が処罰されないという売春防止法の非対称性である。8000万円の売り上げは、そのまま「支払った客がいた」ことを意味するが、現行法では単純売買春の当事者は処罰されず、店・スカウト・場所提供者だけが検挙される。法務省は2026年3月から、買う側への罰則導入を含む売春防止法の見直しを検討する会議を始めているが、結論は出ていない。

「メンズエステ」という看板で守れる範囲は、確実に縮んでいる。一方で、その看板の下で働く女性がどう集められ、どこへ戻っていくのかという部分は、店の摘発だけでは変わらない。違法スカウトへの捜査がどこまで及ぶかが、今回の事件の実質的な結末を決めることになる。

本記事は産経新聞、テレビ朝日(テレ朝NEWS/ANN)、ABEMA TIMES、テレビ愛媛等の報道をもとに構成しています。逮捕は容疑の段階であり、有罪が確定したものではありません。容疑事実および売上金額は、捜査当局の見立てとして報じられた内容です。