「老舗」と「未経験」は、本来かみ合わない
ミルキーパイ が掲げているキャッチは「激戦区池袋で注目され続ける1番の老舗」。一方で採用ページの側では「18〜20代前半」「未経験」「素人感」「原石級の逸材」と、徹底して“新しさ”を売っている。
この二つは、風俗の商売としては相性が悪い。老舗の資産とは、要するに人だ。何年も同じ店に付いている女の子と、その子を目当てに通う客。そこで回る指名料が老舗の屋台骨になる。ところがミルキーパイは、その屋台骨であるはずの部分に「未経験」「原石」を置いている。原石とは、まだ磨かれていない、つまり接客が完成していないという意味だ。
普通ならこれは矛盾で終わる。だがこの店は池袋という、セクキャバが一区画に何軒も詰まっている場所で残り続けている。ということは、女の子の入れ替わりが激しくても客が戻ってくる仕組みが、店側に用意されているということだ。料金表と名物コースを見れば、そこはかなりはっきり書いてある。
池袋2丁目、西口と北口の「あいだ」
所在地は豊島区池袋2丁目48-2、レスタージュ池袋の3階。案内上は西口・北口いずれからも徒歩3分となっている。
この「西口とも北口とも言える」立地は、池袋の遊び場としては地味に効いている。北口はいわゆる中華系の店と風俗案内所が入り混じるエリアで、初めて来た人間には少し敷居が高い。一方で西口はロサ会館側の飲み屋の流れがあり、酒を飲んだ後の足が向きやすい。ミルキーパイはその両方の人の流れが交差するあたりに座っている。
営業は13時から。この昼開けも池袋のセクキャバでは珍しくないが、「昼から開いている老舗」というのは客層を二重に取れる。夜の飲みの二次会組と、平日昼に時間が空いた人間。どちらが欠けても持たないのが激戦区で、片方だけを狙う店から先に消えていく。
エレベーターで3階に上がると、通路の時点でもう店の音が漏れている。前金制の受付は入ってすぐ。カウンターで時間帯とコースを確認して、料金を先に払う。ここで曖昧にされないのは、後で述べる料金構造を考えると相当ありがたい。
四段に割れる料金表で、唯一動かない行
料金は40分を基本尺として、入店時刻で四段に割れる。
| 時間帯 | 40分の基本料金 |
|---|---|
| 13:00〜15:00 | 7,000円 |
| 15:00〜18:00 | 8,000円 |
| 18:00〜21:00 | 9,000円 |
| 21:00〜ラスト | 10,000円 |
指名料は3,000円、延長は40分で10,000円。メルマガ登録で40分5,000円からの最安料金が適用されるという案内も出ている。
ここで目を留めるべきは延長の行だ。延長40分=10,000円は、最も高い21時以降の基本料金と同額である。つまりこの料金表は、時間帯割引が効くのは「最初の40分だけ」という設計になっている。13時に7,000円で入っても、80分遊べば7,000+10,000=17,000円。分単価にすると212円/分で、21時以降に40分だけ入る250円/分と、そこまで差が縮まらない。
これは値段を隠しているという話ではない。むしろ逆で、店は「昼の安い料金は入口だけです」と料金表の中で正直に言っている。昼の7,000円は客を建物の中まで運ぶための値段であって、滞在時間を安く売るための値段ではない。この線引きがはっきりしている店は、会計で揉めない。
指名料3,000円の重さが意味するもの
もう一つ、この店の性格が出ているのが指名料3,000円という設定だ。
13時台に指名で入れば、7,000+3,000=10,000円。指名料が基本料の43%を占める計算になる。21時以降でも10,000+3,000=13,000円で30%。セクキャバの指名料としては軽い部類ではない。
未経験・原石を看板にしている店が、指名料をここまで重く置いているのは一見おかしい。だが順序を逆に読むと筋が通る。この店は「原石を安く見に来させて、気に入った一人に3,000円を払わせる」構造を作っているのだ。フリーで安く回すだけの店なら指名料はもっと軽く設定する。3,000円という数字は、店が指名を“オプション”ではなく“本命の収益”と考えている証拠だ。
そして未経験の子ほど、指名が付いたときの伸び方が早い。だから店は入れ替わりを恐れなくていい。老舗と未経験という矛盾は、ここで解ける。ミルキーパイが十年単位で回してきたのは特定の女の子ではなく、「原石を入れて、指名で育てて、抜けたらまた入れる」という回路そのものだ。
名物「電車コース」の正体は、シチュエーションではなく人数だった
この店を語るなら避けて通れないのが名物の「電車コース」だ。案内では「背後からち〇んし放題」「密着感とドキドキ感を追求した、ちょっぴり刺激的な非日常体験」と紹介されている。要は満員電車の痴漢シチュエーションを店内で再現する企画である。
料金は通常のセット料金に、13〜18時なら+1,000円、18時以降なら+2,000円。ここまでは普通のオプションだ。だが上位の「満員電車コース」を見ると、性格が変わる。
- 満員電車コース:13〜18時 40分15,000円 / 18時〜ラスト 40分20,000円
- 20分間に2名が並んで着席 × 2セット(計4名)
ここを分単価で読むと高く見えるが、人数で割ると景色が変わる。15,000円÷4名で、一人あたり3,750円。20分に2名が同時に付くということは、通常のセットで一人を相手にしている時間の中で、常に二人が横にいる状態が作られている。
つまりこの企画、シチュエーションプレイの体裁を取っているが、実質は「短時間に4人と接触できるパック」だ。未経験・原石を売りにする店にとって、これほど都合のいい商品はない。客からすれば、一人ずつフリーで引いて外し続けるリスクを回避して、40分で在籍の層を一気に確かめられる。店からすれば、まだ指名が付いていない新しい子に接触機会を作れる。
前の節で見た「原石を入れて指名で育てる回路」に、この電車コースはきれいに噛み合っている。老舗の正体は、女の子でも内装でもなく、新人と客を効率よくぶつけるこの装置だった。
40分という尺を、どう使うか
実際に入ってみての話をする。基本尺の40分は、セクキャバとしては標準だが、決して長くはない。前半で会話の温度を作って、後半で距離を詰める——という教科書どおりの進め方をすると、慣れていない子だと後半が始まる前に終わる。
この日付いてくれたのは、まさに看板どおりの子だった。接客の運びは滑らかとは言えず、話題の切り替えでこちらが手を貸す場面もあった。ただ、それを「粗」と取るか「まだ何も型がついていない」と取るかで、この店の評価は真っ二つに割れると思う。完成された接客を求めるなら、池袋にはもっと合う店がある。
一方で、緊張の抜け方は素直だった。前半でこちらが構えを解いて、相手の話す速度に合わせにいくと、後半で明らかに距離の詰め方が変わる。この変化を見るのがこのジャンルの面白さで、そこに指名料3,000円を払う価値があるかどうかが、この店の全部だと思っていい。
戦略として勧めるなら、初回は昼の安い時間帯に入って、電車コースか満員電車コースで在籍の層を確かめる。気に入った一人が見つかったら、次からは時間帯を気にせず指名で入る。この店の料金表は、明らかにその順序で使われることを想定して組まれている。
まとめ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 立地(西口・北口の中間、徒歩3分) | ★★★★★ |
| 料金の分かりやすさ(完全前金・時間帯四段) | ★★★★☆ |
| コストパフォーマンス(延長は割引が効かない) | ★★★☆☆ |
| 女の子の質(未経験・原石寄り、当たり外れあり) | ★★★☆☆ |
| 企画力(電車コース/満員電車コース) | ★★★★★ |
「老舗」と「未経験」という、本来かみ合わないはずの二枚看板。それを成立させていたのは、原石を入れて指名で育て、抜けたらまた入れるという回路と、その回路に新人と客を放り込む「電車コース」という装置だった。長く続いている店の強さは、たいてい女の子ではなく仕組みの側にある——ミルキーパイはその見本のような一軒だ。
だから、この店を一回のフリーで判断するのはもったいないし、逆に「老舗だから安心して完成度が高い」と期待して入ると外す。安い時間帯に入って層を確かめ、当たった一人に3,000円を払いに戻る。その使い方をして初めて、池袋で残り続けてきた理由が見える店だと思う。