判決の経緯
仙台市青葉区国分町のガールズバーで、許可を受けずに接待を伴う営業を行い、18歳未満の少女を働かせたとして風俗営業法(風営法)違反などの罪に問われた男2人に対し、仙台地方裁判所は2026年10月13日、いずれも実刑判決を言い渡した。tbc東北放送が同日報じた。
起訴状などによると、2人は2026年4月、仙台市青葉区国分町2丁目のガールズバーで、風俗営業の許可を得ずに従業員に客を接待させたうえ、従業員の女性が18歳未満と知りながら店で働かせたとされる。
言い渡された刑
tbc東北放送の報道による判決内容は次のとおり。
| 被告 | 店での役割 | 判決 | 求刑 |
|---|---|---|---|
| 46歳の会社役員の男(仙台市宮城野区) | 経営者 | 拘禁刑1年4か月・罰金200万円 | 拘禁刑2年・罰金200万円 |
| 39歳の無職の男(仙台市青葉区) | 経理担当 | 拘禁刑4か月・罰金60万円 | 拘禁刑6か月・罰金60万円 |
須田雄一裁判官は判決で、2人が未成年者を風俗店で働かせる悪質な犯行に積極的に関与したと指摘したという。いずれも執行猶予は付かなかった。拘禁刑の部分は求刑からおおむね3分の2程度に減じられた一方、罰金はいずれも求刑どおりの額となっている。
控訴するかどうかは、現時点で報じられていない。
5月の摘発:「現場責任者」は17歳の女子高校生
この店をめぐっては、2026年5月に宮城県警が摘発に踏み切っていた。NHK、仙台放送、tbc東北放送、岩手日報などの報道を整理すると、経緯は次のとおりである。
- 5月12日午後、県警が国分町のガールズバーを家宅捜索し、3人を風営法違反(無許可営業、年少者使用)などの疑いで逮捕
- 逮捕されたのは、経営者とされる46歳の自称経営コンサルタントの男、38歳の無職の男、そして岩手県の17歳の女子高校生
- 容疑は、4月11日に県公安委員会の許可を受けずに従業員を客の隣に座らせて飲食させるなどの営業をし、18歳未満と知りながら少女を働かせたというもの
- 警察官が店に立ち入ったことで発覚したとされる
- 翌13日、3人は送検された(NHK)
仙台放送は見出しで「店の責任者は17歳女子高生」と伝え、別の報道では38歳の男が店長、17歳の少女が現場責任者の立場だったとされる。報道によって役割の表現には差がある。
今回の判決で経理担当とされた39歳の男と、5月に逮捕された38歳の男が同一人物かどうかについて、判決報道は明示していない。ただ、店の所在地(国分町2丁目)、犯行時期(2026年4月)、経営者の年齢(46歳)、18歳未満の従業員という要素は一致しており、同じ店をめぐる事件とみられる。
何が罪に問われたのか
今回の事件で問われたのは、大きく分けて2つの違反である。
1. 無許可営業 ガールズバーは本来、カウンター越しに酒を提供する「深夜酒類提供飲食店」として届出だけで営業できる業態だ。しかし従業員が客の隣に座って談笑したり酒を作ったりする行為は、風営法上の「接待」にあたり、キャバクラなどと同じ接待飲食等営業として公安委員会の許可が必要になる。無許可営業の法定刑は2年以下の拘禁刑もしくは200万円以下の罰金、またはその併科である。
2. 18歳未満の者の使用 風営法は、許可を受けた風俗営業であっても18歳未満の者に客の接待をさせることを禁じており、深夜帯(午後10時〜翌午前6時)に18歳未満の者を客に接する業務に就かせることも禁止している。今回は「18歳未満と知りながら」働かせたことが起訴内容に含まれている。
経営者に科された罰金200万円は、無許可営業の罰金の上限と同じ額にあたる。罰金を併科したうえで実刑とした今回の判決は、裁判所が未成年者の関与を重く見たことをうかがわせる。もっとも、被告の前科の有無など量刑判断の詳細は報じられておらず、判決理由の全容は明らかでない。
背景:国分町で続く摘発と「無許可」の構造
東北最大の歓楽街とされる国分町では、2026年に入ってガールズバーの摘発が相次いでいる。8月にも、国分町2丁目の別のガールズバーが無許可営業の疑いで摘発され、経営者ら4人が逮捕された。この件では、客からの「高額な料金を請求された」という相談が捜査の端緒になったと報じられた。
街頭の客引きも課題として残る。khb東日本放送(10月7日)によると、仙台市は2026年6月から民間警備会社に客引き対策のパトロールを委託し、警備員12人が火曜から土曜の夕方〜午後11時に巡回している。一方で、被害対策弁護団の弁護士は、午後11時以降に被害が集中していると指摘し、店が客引きに支払う報酬(キャッチバック)の高さが被害拡大の背景にあると述べている。仙台中央署には2025年、ぼったくりに関する相談が約140件寄せられたという。
これらの事件に共通するのは、「許可を取らない」ことで行政のチェックをすり抜ける構造である。接待飲食等営業の許可を受ければ、管理者の選任、18歳未満の者の使用禁止、営業時間や料金表示のルールといった義務が課され、警察の立ち入りの対象にもなる。届出だけの業態を装って接待を行えば、こうした仕組みの外で営業できてしまう。今回の事件で17歳の少女が「現場責任者」とまで報じられたことは、外からの目が届かない店の中で、年齢確認や労務管理が機能していなかった可能性を示している。
全国的にも、10月には福島市の飲食店で17歳の少女に接待をさせた疑いで男女が逮捕されるなど、地方都市の夜の店で未成年者が働かされる事件の摘発が続いている。逮捕・起訴の段階にとどまる事件が多いなかで、今回の判決は、未成年者を関与させた無許可営業に対し、経営者だけでなく経理担当者にも実刑が選択された事例として注目される。
本記事はtbc東北放送(2026年10月13日)の判決報道、およびNHK、仙台放送、tbc東北放送、岩手日報(2026年5月12日〜13日)、khb東日本放送(2026年10月7日)の報道をもとに構成しています。