風俗ニュース

山口県が歓楽街の「みかじめ料」を禁止へ 暴排条例改正で特別強化地域を新設、払った飲食店・性風俗店側にも罰則

中国新聞デジタルは2026年8月21日、山口県が歓楽街での「みかじめ料」の授受を禁じる方向で県暴力団排除条例を改正すると報じた。改正案は歓楽街を対象とする「暴力団排除特別強化地域」を新設し、地域内で暴力団側が飲食店や性風俗店から用心棒料などを受け取ることも、店側が支払うことも禁じる。違反した場合は暴力団側・事業者側の双方に罰則が科される見通しで、報道によると法定刑は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされる。山口市の湯田温泉、下関市の豊前田といった歓楽街が指定対象に想定されている。

山口県が歓楽街の「みかじめ料」を禁止へ 暴排条例改正で特別強化地域を新設、払った飲食店・性風俗店側にも罰則

条例改正の概要

中国新聞デジタルは2026年8月21日、山口県が歓楽街での「みかじめ料」の授受を禁止する方向で、山口県暴力団排除条例を改正すると報じた。同記事は47NEWSにも配信されている。読売新聞オンラインも、山口県警が歓楽街を対象とした「暴力団排除特別強化地域」を新設し、用心棒料の授受について暴力団側と店側の双方に罰則を科す方針を固めたと伝えている。

「みかじめ料」は、暴力団が繁華街の飲食店や性風俗店などに対し、用心棒代・場所代・あいさつ料といった名目で継続的に金品を出させる資金獲得手段を指す。これまで多くの自治体の暴排条例では、暴力団への利益供与を「してはならない」と定めつつ、実効性の担保は中止命令や勧告、事業者名の公表といった行政的な手段が中心だった。今回の改正は、特定の地域を切り出したうえで、授受そのものを直接の処罰対象に格上げする点に特徴がある。

本記事の内容は報道および山口県警が実施した条例改正案の意見公募(パブリックコメント)で示された案に基づくものであり、条文の最終的な文言や施行の時期は、県議会での審議を経て確定する。

「暴力団排除特別強化地域」とは何か

報道によると、改正案の柱は、県内の歓楽街に「暴力団排除特別強化地域」を設ける点にある。この地域の中では、次の二つが禁止される。

  • 暴力団員などが、飲食店・性風俗店といった特定の事業者から、用心棒料やみかじめ料に当たる利益を受け取ること
  • 事業者側が、暴力団員などにそうした利益を提供すること

つまり、取り締まりの対象は暴力団だけではない。読売新聞オンラインは、違反した場合には双方に1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されると報じている。指定対象として想定されている歓楽街には、山口市の湯田温泉や下関市の豊前田などの名前が挙がっているという。

また、同じ改正では、少年を暴力団事務所に立ち入らせる行為も禁じられ、違反に対して中止命令を出せるようにするとされる。若年層が暴力団や、その周辺の匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)に取り込まれることを入口の段階で断つ狙いがあるとみられる。

県警は改正案についてパブリックコメントを実施し、年度内の改正を目指すとしていた。今回の報道は、その手続きが具体的な改正の段階に進んだことを示すものだ。

なぜ「払った側」も処罰するのか

この種の規定でしばしば議論になるのが、みかじめ料を払った事業者を処罰することの是非である。店側は多くの場合、断れば嫌がらせや妨害を受けるという圧力の下に置かれており、被害者的な立場にあるからだ。

それでも「双方処罰」が採られるのは、次のような実務上の事情がある。

課題 双方処罰の狙い
店側が被害を申告しない 支払い自体が違法になれば「払い続ける」選択のコストが上がり、警察に相談する動機が生まれる
暴力団側の立件が難しい 恐喝罪の立証には害悪の告知などが必要だが、授受の事実だけで問える規定があれば立件の間口が広がる
慣行として固定化している 「昔から払うもの」という業界慣行を、地域単位で明確に違法と宣言できる

一方で、店側にとっては「払っても罰、断っても報復」という二重の板挟みが生じかねない。先行して同種の規定を持つ自治体では、警察による相談体制や、暴力追放運動推進センターなどを通じた保護・支援の枠組みをあわせて用意するのが通例であり、山口県でも運用面の整備が課題となる。

性風俗店・接客業が名指しされる意味

今回の改正案で「飲食店や性風俗店」といった業種が対象事業者として想定されていることは、この規制が歓楽街の実態を踏まえたものであることを示している。

深夜まで営業し、現金取引が多く、行政指導や近隣トラブルに巻き込まれやすい接客・性風俗の営業は、歴史的に暴力団の資金源にされやすい構造を抱えてきた。無許可・無届けで営業していれば、トラブルが起きても警察に相談しづらく、その弱みが用心棒代の温床になる。裏を返せば、店が適法に営業していることが、みかじめ料を断るための最も現実的な条件になる。

2026年に入ってからも、全国では歓楽街と暴力団の結び付きを問う摘発が続いている。当サイトでも、高知市の無許可ラウンジで経営者とともに山口組傘下の組員が逮捕された事件や、大規模スカウトグループの会長が繁華街での活動をめぐって暴力団側にみかじめ料を払ったとして東京都暴力団排除条例違反の疑いを持たれた事案を取り上げてきた。歓楽街の資金の流れを規制する動きは、一つの県にとどまる話ではない。

背景

暴力団排除条例は2011年までに全都道府県で出そろい、暴力団対策法が「暴力団を規制する法律」であるのに対し、条例は「社会の側が暴力団と関わらないようにする仕組み」として位置づけられてきた。その第二段階として広がっているのが、歓楽街を面で指定し、利益の授受そのものを処罰する「特別強化地域」型の規定である。東京都では新宿・歌舞伎町などの繁華街が指定され、同種の規定に基づく摘発が近年相次いでいる。

この流れの背景には、暴力団の資金獲得が見えにくくなっているという事情がある。組員数の減少が続く一方で、実際の資金の流れはスカウトグループや特殊詐欺グループといった、暴力団と一体でも別組織でもない緩やかな集団を経由するようになった。彼らが繁華街で活動する際に暴力団へ支払う「場所代」は、まさに今回規制されようとしている類型に当たる。歓楽街での金銭授受を地域単位で違法化することは、こうした中間層への資金の道筋を断つ狙いを含んでいる。

ただし、規制の効果は指定地域の線引きと運用に左右される。地域を限れば、その外側へ活動が移るだけという指摘は常につきまとう。取り締まりを強めるほど当事者が水面下に潜り、被害の可視化がかえって難しくなるという構図も、歓楽街をめぐる規制強化に共通する課題である。条例が実際に機能するかどうかは、施行後に店側が安心して相談できる回路が用意されるかにかかっている。

本記事は中国新聞デジタル、47NEWS、読売新聞オンライン等の報道、および山口県警が実施した山口県暴力団排除条例の一部改正(案)に関する意見公募の公表内容をもとに構成しています。条例改正案の最終的な内容および施行時期は、県議会での審議を経て確定します。