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審判への「性接待」疑惑、韓国警察が公訴時効成立の見解 日本人審判4人はJFAが調査中

共同通信は2026年8月19日、大韓サッカー協会が2011〜12年に外国人審判員へ性的接待をしたとされる疑惑について、韓国警察が性売買あっせん容疑の公訴時効は成立しているとの見解を示したと報じた。疑惑の出所は韓国文化体育観光部が2016年にまとめた監査報告書で、W杯予選など計7試合・外国人審判員ら約10人が対象とされる。日本人審判も含まれるとみられ、日本サッカー協会は該当する4人の事実確認を進めている。刑事責任が時効で閉じても、組織の接待として性売買が使われたかどうかの検証は残る。

審判への「性接待」疑惑、韓国警察が公訴時効成立の見解 日本人審判4人はJFAが調査中

韓国警察「性売買あっせん容疑は時効」

共同通信は2026年8月19日、大韓サッカー協会(KFA)が2011〜12年に外国人審判員へ性的な接待をしたとされる疑惑をめぐり、韓国警察が性売買あっせん容疑について公訴時効が成立しているとの見解を示したと報じた。韓国メディアの報道を伝えたもので、同日中に複数の日本メディアが同趣旨で配信している。

韓国では、公訴時効が15年を超えるのは内乱罪などの重大犯罪に限られる。疑惑とされる行為は2011〜12年、つまり14〜15年前のことであり、性売買処罰法に基づくあっせん罪では時効の壁を越えられない、というのが警察の説明である。

警察は8月10日の定例会見の段階では「捜査に着手していない」「起訴要件などを検討する必要がある」と述べ、捜査の可否そのものを検討中だとしていた。今回の見解表明は、その検討の結論にあたる部分である。適用が想定されていた罪名としては、性売買を禁じる法律のほか、協会資金を接待に充てたとすれば業務上背任も挙げられていた。

疑惑の出所は2016年の監査報告書

この件は最近になって発生した事件ではなく、10年前に韓国政府が作成した内部文書が起点になっている。

  • 報告書の作成者:韓国文化体育観光部
  • 時期:2016年
  • 表題:大韓サッカー協会の役職員等の不正調査結果
  • 判明した内容:2011年3月〜12年3月にかけ、代表チーム・五輪代表チームの試合に参加した外国人審判員や、審判交流で訪韓した中国サッカー協会関係者を、マッサージ店などで計8回にわたり不適切に接待したとされる

対象となった試合は、ブラジルW杯予選やロンドン五輪予選、国際親善試合を含む計7試合。接待を受けたとされるのは外国人審判員ら約10人である。この監査結果は2016年の時点で当局が把握していたが、公表されずに置かれ、2026年8月に韓国メディアが報じたことで一般に知られることになった。

日本人審判が含まれるとされる部分

週刊文春は、監査報告書に日本人審判が関わる記載があると報じた。同誌の報道によれば、7試合のうち3試合で計7人の日本人審判が担当しており、そのうち2012年2月に行われたW杯アジア3次予選・韓国対クウェート戦では、主審から第4の審判まで4人全員が日本人だったという。

報告書には、この試合に関連して2人がソウル・江南区のマッサージ店で不適切な接待を受け、協会の法人カードで約50万ウォンが支払われたとする趣旨の記載があるとされる。韓国の歓楽街で「マッサージ店」と呼ばれる業態には性的サービスを伴う店が含まれる、というのが同誌の説明である。なお、この金額や店舗に関する具体的な記述は現時点で文春の報道に依拠するもので、他社報道による独立した裏づけは確認できていない。

同誌の取材に対し、対象とされた日本人審判の一人は当初は否定したものの、最終的に「まったくなかったのかと言われると、記憶がかなり……なので絶対とは言えない」と述べたと報じられている。

日本サッカー協会は4人を調査

日本サッカー協会(JFA)は、報道を受けて当時の試合を担当した日本人審判4人の事実確認に着手した。宮本恒靖会長は2026年8月12日、都内でのイベント後に報道陣の取材に応じ、「JFAとして、その事実確認をしているという状況です」と説明している。JFAは調査後に結果を公表する意向とされる。

一方、韓国側では別件の捜査が進行している。警察は洪明甫(ホン・ミョンボ)監督の選任過程をめぐる業務妨害容疑で、8月6日に大韓サッカー協会本部を家宅捜索した。性接待疑惑はこの一連の協会をめぐる問題群の一つとして浮上した格好である。

経過を整理すると次のようになる。

時期 内容
2011年3月〜12年3月 外国人審判員らへの接待が計8回行われたとされる期間(監査報告書)
2016年 韓国文化体育観光部が監査で事実を確認、報告書を作成
2026年8月上旬 韓国メディアが報道、疑惑が公になる
2026年8月6日 警察が別件(業務妨害容疑)で協会本部を家宅捜索
2026年8月10日 ソウル警察庁「捜査の可否を検討中。着手していない」
2026年8月12日 JFA宮本会長「事実確認をしている状況」
2026年8月19日 韓国警察、性売買あっせん容疑は公訴時効成立との見解

背景

この件が性風俗の問題として重いのは、個人の遊興ではなく、組織が業務上の目的で性的サービスを購入したとされる点にある。報告書が記す通りなら、支払いは協会の法人カードで行われ、相手は試合の判定を担う審判員だった。買った側の動機は快楽ではなく、便宜の獲得である。

韓国は2004年に性売買処罰法を施行し、買春・あっせんの双方を処罰の対象としている。日本の売春防止法も、売春そのものへの罰則は限定的である一方、周旋・場所提供・資金提供といった「あっせん側」を重く処罰する構造を採る。いずれの法制でも、接待として第三者に性的サービスを買い与える行為は、支払った組織の側が問われる設計になっている。今回、時効を理由に刑事責任が問えないとしても、その評価が変わるわけではない。

日本でも「接待」の一環として性風俗店が使われる慣行は長く指摘されてきた。企業の交際費処理や公務員倫理規程をめぐる議論では、性風俗店での接待は繰り返し問題化しており、贈収賄事件で接待の内容として認定された例もある。表に出にくいのは、支払った側も受け取った側も記録を残さないためで、今回のように法人カードの決済という形で痕跡が残るケースはむしろ例外に近い。10年前の監査で把握されながら10年間表に出なかったことも、この種の事案の扱われ方を示している。

刑事手続きとしては、韓国警察の見解によって道が閉じつつある。ただし残る論点は二つある。一つは、スポーツの公正性の問題である。一部報道によれば、疑惑の対象となった7試合で韓国は5勝2分と負けていない。判定に影響があったかは検証されていないが、接待の事実自体が競技の信頼性を損なう。もう一つは、日本側の当事者に関する事実確認である。時効は刑事責任の消滅を意味するにすぎず、審判員としての規律や協会のガバナンスの問題は、JFAが自ら判断すべき領域として残っている。同協会は調査結果を公表する方針を示しており、その内容が次の焦点となる。

本記事は共同通信(2026年8月19日配信)、聯合ニュース、週刊文春・文春オンライン、デイリースポーツ、東スポWEB、佐賀新聞(共同配信)などの報道をもとに構成しています。監査報告書の記載内容および接待の具体的態様は各社の報道に基づく伝聞であり、当事者の関与の有無について確定した事実ではありません。韓国警察の見解は本記事執筆時点のもので、日本サッカー協会の調査結果は未公表です。