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「売春あっせん行脚」3年か 九州・四国・中国地方を車で移動、出会い系で客集め 福岡県警が男2人を再逮捕、女性を紹介した占い師も逮捕

福岡県警は2026年7月28日、売春防止法違反(売春をさせる契約、周旋)の疑いで、北九州市小倉北区の会社役員・大坪良樹容疑者(35)と小山浩治容疑者(32)を再逮捕した。再逮捕容疑は、2025年11月に佐賀県内で20代女性と不特定の客を相手に売春をさせる契約を結び、2026年6月に岡山県内で客の男性に紹介したというもの。前日の27日には、女性を2人に紹介したとして職業安定法違反(有害業務目的の紹介)の疑いで、住所不定の占い師・衛藤健嗣容疑者(48)が逮捕され、容疑を認めている。県警は、グループが少なくとも3年前から九州・四国・中国地方を車で移動しながら出会い系サイトで客を探し、売春を繰り返していたとみている。

「売春あっせん行脚」3年か 九州・四国・中国地方を車で移動、出会い系で客集め 福岡県警が男2人を再逮捕、女性を紹介した占い師も逮捕

事件の経緯

福岡県警は2026年7月28日、売春防止法違反(売春をさせる契約、周旋)の疑いで、北九州市小倉北区の会社役員・大坪良樹容疑者(35)と、同市の小山浩治容疑者(32)を再逮捕した。前日の27日には、2人に女性を紹介したとして、住所不定で占い師の衛藤健嗣容疑者(48)が職業安定法違反(有害業務目的の紹介)の疑いで逮捕されている。西日本新聞、KBC九州朝日放送などが報じた。

再逮捕容疑は、大坪・小山両容疑者が共謀のうえ、2025年11月に佐賀県内で20代の女性との間に「不特定の客を相手に売春をさせる」内容の契約を結び、2026年6月に岡山県内で客の男性に女性を紹介した、というものである。報道によれば、県警は両容疑者の認否を明らかにしていない。一方、衛藤容疑者は容疑を認めているとされる。

項目 内容
逮捕日 2026年7月27日(衛藤容疑者)/7月28日(大坪・小山両容疑者)
捜査機関 福岡県警
罪名 売春防止法違反(売春をさせる契約、周旋)/職業安定法違反(有害業務目的の紹介)
契約とされる時期・場所 2025年11月、佐賀県内
あっせんとされる時期・場所 2026年6月、岡山県内
認否 大坪・小山=明らかにされず/衛藤=容疑を認める

大坪・小山両容疑者は、2026年7月8日に別の売春防止法違反容疑ですでに逮捕されており、その捜査の過程で今回の容疑が浮上した。今回の再逮捕は、一連の摘発の第2段階にあたる。

「行脚型」——店舗を持たない売春の形

この事件で目を引くのは、摘発された営業の形態である。報道によると、県警はグループが少なくとも3年前から、九州・四国・中国地方を車で移動しながら、出会い系サイトで客を探して売春を繰り返していたとみている。

今回明らかになった容疑事実だけを並べても、その移動の広さがわかる。

  • 拠点とされるのは福岡県北九州市
  • 女性と契約を結んだとされるのは佐賀県
  • 客に紹介したとされるのは岡山県

契約地と実行地が県をまたいで数百キロ離れている。これは、ソープランドやデリバリーヘルスのように「営業所」を届け出て一定の地域で客を取る形態とは、まったく性質が異なる。

店舗を構えない移動型には、摘発する側から見て次のような難しさがある。

論点 固定店舗型 移動型(今回のような形態)
所在 届出・看板・ビル所在地で特定できる 特定の住所を持たない
管轄 所轄署が継続的に把握 県境をまたぎ、管轄が分断される
客との接点 店舗サイト、待機所、送迎 出会い系サイト上の1対1のやり取り
痕跡 求人・広告・料金表が公開される 公開情報がほとんど残らない

「行脚」という表現が報道で使われたのは、この構造を端的に言い表しているからだろう。取り締まりの網が地域単位で張られている以上、地域を移動し続ける営業はその網の目をすり抜けやすい。今回、県境をまたいだ容疑が立件に至った点は、その意味で捜査上の一つの到達点といえる。

「占い師」が入り口になった

もう一つの論点は、女性を紹介したとされるのが占い師だったことである。

衛藤容疑者に適用されたのは職業安定法違反、それも「有害業務目的の紹介」だ。この罪名は、近年の違法スカウトグループ摘発で繰り返し登場してきたものと同じである。街頭やSNSで女性に声をかけ、性風俗店に紹介して手数料を得る——その行為を処罰する条文が、今回は占いという別の入り口に適用された。

職業安定法は、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的での職業紹介を禁じており、違反すれば1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金、もしくはその併科という重い法定刑が定められている。性風俗産業そのものではなく、そこへ人を送り込む「仲介」を狙い撃ちにする構造だ。

なぜ占いなのか。報道の範囲では、衛藤容疑者と女性の関係や、紹介に至った経緯の詳細は明らかにされていない。したがって断定はできない。ただし一般論として、占いは金銭・仕事・人間関係の悩みを打ち明ける場になりやすく、相談者の困窮状況が相談を受ける側に筒抜けになりやすいという性質を持つ。相手の弱みを先に把握したうえで「仕事を紹介する」という流れが成立しうる構図は、街頭スカウトが「困っていそうな女性」を外形から見分けようとするのと、機能的には同じ位置にある。

紹介の入り口は街頭やSNSに限られない——今回の逮捕は、その当たり前の事実を捜査側が条文の適用によって示した事例といえる。

背景——売春防止法の「買う側」問題

この事件を制度の側から見ると、売春防止法の構造がそのまま浮かび上がる。

売春防止法は、売春という行為そのものに刑事罰を科していない。処罰の対象となるのは、その周辺に位置する行為である。

  • 公衆の目に触れる方法での勧誘(売る側の行為)
  • 売春をさせることを内容とする契約
  • 周旋(あっせん)
  • 売春の場所の提供
  • 売春をさせることをとする行為

今回の3人に適用された罪名は、いずれもこの周辺行為に当たる。契約を結び、客を探し、女性を紹介した側が問われる一方で、岡山県内で紹介を受けたとされる客の男性は、この法律では処罰の対象にならない

この非対称が、いま国レベルで議論の俎上に載っている。時事通信によると、法務省は2026年3月、売春に対する法規制の抜本的な見直しに向けた有識者検討会を立ち上げた。1956年制定の売春防止法は70年を経ており、「売る側」の勧誘行為などを摘発対象とする一方で「買う側」は処罰されないという不均衡の是正が、議論の最大の焦点とされている。

2026年に入ってからの摘発の並びを見ると、この構図は一貫している。ソープランドの経営者が「売春の場所の提供」で、スカウトが「有害業務目的の紹介」で、そして今回は移動型の仲介者が「契約・周旋」で摘発された。摘発の形は業態ごとに違っても、法が捉えているのは常に供給側とその仲介者である。

移動型の営業が3年続いたとみられているという事実は、供給側だけを取り締まる制度が、需要が存在し続ける限りいかに追いつきにくいかを示している。県境を越えて動く仲介者を1件ずつ立件していく作業と、法律の枠組み自体を見直す議論とは、いま同時並行で進んでいる。今回の逮捕は、その前者の現場から出てきた一つの事例である。

なお、本記事で挙げた容疑事実はいずれも捜査段階のものであり、大坪・小山両容疑者の認否は公表されていない。有罪・無罪の判断は今後の司法手続きに委ねられる。

本記事は西日本新聞、KBC九州朝日放送、時事通信等の報道をもとに構成しています。