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スカウト集団「トラス」代表に有罪判決 20代女性3人を札幌・名古屋・浜松の性風俗店にあっせん 大阪地裁「常習的で組織的な犯行」

大阪地裁は2026年7月29日、スカウトグループ「トラス」代表の児波蓮被告(29)に職業安定法違反の罪で懲役2年6か月・執行猶予3年(求刑・懲役2年6か月)を言い渡した。判決は「常習的に行われた組織的な犯行で動機や経緯にくむべき事情はなく、悪質性も高い。代表者の立場で責任は大きい」と指摘した一方、被告が罪を認め反省しているとして刑の執行を猶予した。起訴されたのは2024年7〜11月に当時20代の女性3人を札幌市・名古屋市・静岡県浜松市の性風俗店に紹介した行為で、大阪府警は同グループが紹介の見返りなどで計約1億円を得たとみて捜査していた。

スカウト集団「トラス」代表に有罪判決 20代女性3人を札幌・名古屋・浜松の性風俗店にあっせん 大阪地裁「常習的で組織的な犯行」

判決の概要

大阪地裁は2026年7月29日、職業安定法違反の罪に問われたスカウトグループ「トラス」代表・児波蓮被告(29)に、懲役2年6か月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。求刑は懲役2年6か月だった。MBSニュースなどが同日報じている。

判決は量刑の理由として「常習的に行われた組織的な犯行で動機や経緯にくむべき事情はなく、悪質性も高い」とし、「代表者の立場で責任は大きい」と指摘した。そのうえで、被告が公判を通じて罪を認め反省の姿勢を示していることなどを考慮し、刑の執行を猶予した。

項目 内容
判決日 2026年7月29日
裁判所 大阪地裁
被告 児波蓮被告(29)=スカウトグループ「トラス」代表
罪名 職業安定法違反(有害業務目的の職業紹介)
判決 懲役2年6か月・執行猶予3年(求刑・懲役2年6か月)
起訴事実 2024年7〜11月、20代女性3人を性風俗店に紹介

なお、2025年6月1日に懲役・禁錮を一本化した「拘禁刑」が施行されているが、施行前の行為には従前の刑が適用される。本件の起訴事実は2024年の行為であり、報道はいずれも「懲役」と伝えている。

起訴された事実——2024年7〜11月、3人を3都市へ

判決および逮捕時の報道によると、児波被告は2024年7月から11月にかけて、街頭でスカウトした当時20代の女性3人を、札幌市・名古屋市・静岡県浜松市の性風俗店に紹介し、働かせたとされる。

ポイントは、起訴の対象が「売春をさせた」ことではなく、職業紹介そのものである点にある。

  • スカウト行為の相手は3人、期間は約5か月間に限定されている
  • 紹介先はいずれも大阪ではなく、札幌・名古屋・浜松という遠隔地
  • 見返りとして、紹介先の性風俗店から「スカウトバック」などを受け取っていたとされる

紹介先が大阪圏外に集中している点は、いわゆる「出稼ぎ」型の送り出しをうかがわせる。ただし、この3件がどのような経緯で遠隔地の店舗に結びついたのかについて、公表された報道の範囲では詳細は明らかにされていない。断定は避ける。

「トラス」とは——10人規模、キタ・ミナミと東京の繁華街で

児波被告らが摘発されたのは2026年2月のことだった。共同通信によると、大阪府警は同年2月4日までに、職業安定法違反(有害業務目的紹介)の疑いで児波容疑者ら男4人を逮捕。府警は、同グループが紹介の見返りなどで計約1億円を得たとみて捜査していた。

報道で伝えられている「トラス」の輪郭は次のとおりである。

  • 構成員は10人ほどの比較的小規模なグループ
  • 活動範囲は大阪のキタ・ミナミに加え、東京の繁華街にも及んでいた
  • 家宅捜索先からは、女性への声のかけ方を記したマニュアルなどが押収された

「マニュアルが存在した」という事実は、この種のグループを理解するうえで重要な意味を持つ。街頭での勧誘が個人の話術や偶然に依存する属人的な行為ではなく、手順として共有・再現可能な形に落とし込まれていたことを示すからだ。判決が「常習的」「組織的」と評価した根拠も、この構造にある。

一方で、起訴・立証されたのは女性3人分の紹介にとどまる。約1億円という金額と、法廷で認定された3件との間には大きな開きがある。これは捜査で得られた全体像と、刑事裁判で証拠によって固められる範囲がしばしば一致しないという、この種の事件に共通する構図でもある。

なぜ「職業安定法違反」なのか

スカウト摘発で繰り返し登場するこの罪名は、風営法でも売春防止法でもない。職業安定法は、公衆道徳上有害な業務に就かせる目的での職業紹介を禁じており(有害業務目的紹介)、違反すれば1年以上10年以下の拘禁刑または20万円以上300万円以下の罰金、もしくはその併科という重い法定刑が定められている。

この構成に、スカウト事件特有の事情が表れている。

論点 内容
処罰の対象 性風俗店で働くこと自体ではなく、そこへ人を「紹介」する行為
立証の核心 紹介の事実、有害業務であることの認識、報酬(スカウトバック)の授受
女性側の立場 紹介された側は処罰対象ではなく、保護されるべき立場に置かれる

つまりこの罪名は、性産業への「入り口」に立って手数料を抜く仲介者を狙い撃ちにするための道具として機能している。近年のスカウト摘発が一様にこの条文に依拠しているのは、そのためである。

背景——スカウト摘発が「頂点」から「地方組織」へ

2025年以降、違法スカウトの摘発は全国的に加速してきた。全国最大規模とされる「ナチュラル」では、代表格の男が東京地裁の公判で起訴内容を認め、会長格やナンバー2格も相次いで逮捕されている。歌舞伎町で20年以上活動していたとされるベテランスカウトの摘発も報じられた。

今回の「トラス」は、その流れの中で位置づけが少し異なる。構成員10人ほどという規模は「ナチュラル」の全国網とは比較にならないが、それでも紹介の見返りとして1億円規模の資金が動いたとみられている。捜査の焦点が、全国組織の頂点から、各都市圏に根を張る中小規模のグループへと降りてきていることを示す事案といえる。

制度面でも環境は変わった。2025年6月に施行された改正風営法は、性風俗店側がスカウトに紹介料(スカウトバック)を支払う行為を禁じている。2026年6月には、スカウトバックの支払いを理由に東京都内の性風俗店へ120日間の営業停止処分が出され、行政処分による「支払う側」への締め付けも始まった。

構図としては、次の二方向から挟み込む形が整いつつある。

  • 紹介する側——職業安定法違反(有害業務目的紹介)で刑事責任を問う
  • 支払う側——改正風営法にもとづく行政処分で営業そのものを止める

今回の判決が執行猶予付きとなったことについては、初犯であることや罪を認めた点が考慮されたとみられる。ただし判決が「代表者の立場で責任は大きい」とわざわざ言及した点は見過ごせない。実行役ではなくグループを設計・運営した者の責任を明示する判断は、今後同種の事件で量刑を左右する要素になりうる。

街頭で声をかけ、遠方の店に送り、手数料を受け取る——この一連の流れが「ビジネスモデル」として成立してきた前提そのものが、刑事と行政の両面から崩されつつある。トラスの一件は、その過渡期に出された一つの司法判断である。

本記事はMBSニュース、共同通信、ABCニュース(朝日放送)等の報道をもとに構成しています。