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違法スカウト「ナチュラル」の募集・あっせん役の男(24)を逮捕 捜査員が「やり手のプレーヤー」と呼んだ実務担当、容疑事実は6月のナンバー2逮捕と同一

警視庁は、違法スカウトグループ「ナチュラル」で女性の募集・あっせん役を担っていたとされる24歳の男を、職業安定法違反(有害業務目的の紹介)の疑いで逮捕した。2026年8月12日、テレビ朝日系(ANN)、TBS NEWS DIG、ABEMA TIMESなどが報じた。容疑は2023年9月ごろから、SNSで募った20代女性を群馬県高崎市の性風俗店に紹介したとされるもの。捜査員の間では、紹介実績の多さから「やり手のプレーヤー」と呼ばれていたという。この容疑事実は、6月に逮捕された同グループのナンバー2の容疑と時期・場所が重なっており、警視庁が1件のあっせんを軸に組織の上下を縦に立件していることがうかがえる。

違法スカウト「ナチュラル」の募集・あっせん役の男(24)を逮捕 捜査員が「やり手のプレーヤー」と呼んだ実務担当、容疑事実は6月のナンバー2逮捕と同一

逮捕の概要

警視庁は、国内最大級とされる違法スカウトグループ「ナチュラル」で女性の募集・あっせん役を担っていたとみられる吉村隼容疑者(24)=住居・職業不詳=を、職業安定法違反(有害業務目的の紹介)の疑いで逮捕した。2026年8月12日、テレビ朝日系(ANN)、TBS NEWS DIG(JNN)、ABEMA TIMES、琉球朝日放送(QAB)などが報じた。

組織内での位置づけの書きぶりは各社で分かれている。ABEMA TIMESと琉球朝日放送(QAB)は「幹部」とし、TBS NEWS DIGは見出しで「メンバー」と表現している。ただし役割の説明はいずれも共通しており、「女性の募集やあっせん役」――組織の看板を背負う立場ではなく、女性を集めて店に送り込む実務そのものを担っていた人物、という描き方である。

なお、逮捕日については各社の報道で明示されていない。認否も警視庁は明らかにしていない。以下に記す事実関係はいずれも捜査段階のものであり、逮捕は容疑の段階にとどまる。起訴・有罪が確定したものではない。

容疑の内容

報道によると、逮捕容疑は、2023年9月ごろ以降、不特定多数の男性客に性的サービスを提供させる目的で、20代の女性を群馬県高崎市の性風俗店に紹介したとされるもの。TBS NEWS DIGは、容疑の期間をより細かく「2023年9月中旬ごろから11月中旬ごろ」と伝えている。

手口として報じられているのは、次の流れである。

  • 吉村容疑者自身がSNSを通じて女性に接触し、働き手を募る
  • 応じた女性に対し、性風俗店の面接会場に行くよう促す
  • 女性が店で稼働し、店側からスカウト側に紹介料が渡る

職業安定法は、公衆衛生・公衆道徳上有害な業務に就かせる目的での職業紹介を禁じている。無許可のスカウトが女性を性風俗店に紹介する行為は、この規定に問われる。「ナチュラル」をめぐる一連の摘発で繰り返し使われてきた罪名であり、今回も同じ構成である。

「やり手のプレーヤー」という呼称

今回の報道で各社が共通して伝えたのは、捜査員の間で吉村容疑者が「やり手のプレーヤー」と呼ばれていたという点である。多数の女性を性風俗店に紹介していた実績によるものだという。TBS NEWS DIGは、この呼称そのものを見出しに採っている。

この呼称は、単なる人物描写にとどまらない。捜査側が、組織の一メンバーを「紹介実績の多寡」で識別できる程度に、個々のスカウトの稼働状況を把握していたことを示している。「ナチュラル」は独自のアプリで女性とスカウトを管理していたと報じられており、そうした管理データが捜査の材料になっている可能性は考えられる。ただし、呼称の由来がデータ押収に基づくものかどうかは報じられておらず、ここは推測にとどまる。

容疑事実が6月のナンバー2逮捕と重なる

今回の逮捕で最も注目すべきは、容疑事実の「重なり」である。

2026年6月11日、警視庁などは「ナチュラル」のナンバー2で運営部門の統括役とされる榎本悠人容疑者(35)を、同じ職業安定法違反の疑いで逮捕している。その容疑は、2023年9〜11月ごろ、20代の女性を群馬県高崎市の性風俗店にあっせんしたとされるものだった。

今回の吉村容疑者の容疑は、時期(2023年9月以降、報道により9〜11月)、対象(20代女性)、送り先(群馬県高崎市の性風俗店)が、いずれもこれと符合する。

2026年6月逮捕 2026年8月逮捕
対象者 榎本悠人容疑者(35) 吉村隼容疑者(24)
組織内の位置 ナンバー2・運営統括 女性の募集・あっせん役
容疑 職業安定法違反(有害業務目的の紹介)
時期 2023年9〜11月ごろ 2023年9月以降
送り先 群馬県高崎市の性風俗店 群馬県高崎市の性風俗店

同一の容疑事実で、指示・統括する側と現場で女性を集める側の双方を、時間差で立件していく構図である。組織犯罪の捜査では、一つの実行行為を確定させたうえで、その行為に関与した人物を階層をまたいで順に押さえていく手法がとられる。「1件のあっせん」を軸に組織を縦に串刺しにする形が、ここに現れている。

SNSで完結する勧誘という構造

もう一つ見落とせないのは、今回報じられた手口が路上での声かけではなく、SNSでの募集から面接会場への誘導で完結している点である。

「ナチュラル」は路上とSNSの双方でスカウトを行ってきたと報じられてきたが、規制の網は場所によって強さが違う。2025年6月に施行された改正風営法は、性風俗店からスカウトへの紹介料(スカウトバック)の支払いを禁じ、店側の資金の出口を締めた。歌舞伎町や大久保公園周辺では、路上での勧誘そのものへの取り締まりも強化されている。

一方、SNS上での募集は、外形上は求人の勧誘と見分けがつきにくい。声をかける現場が可視化されないため、路上対策では届かない。今回のように「SNSで募り、面接会場に行かせた」という行為が職業安定法違反として立件されたことは、勧誘の場がオンラインに移っても紹介行為そのものは処罰対象であるという線引きを、あらためて示すものといえる。

背景

「ナチュラル」は2009年ごろに立ち上げられたとされ、路上やSNSで女性を集めて全国の性風俗店に紹介する事業を、契約課・アプリ課・集金部門といった部門制で運営してきたと報じられてきた。報道では組織の規模は1500人規模とも2000人規模とも伝えられ、今回の各社報道は、性風俗店から年間45億円ほどを受け取っていたとされる点にも触れている。当サイトでこれまで扱った報道では、2022年の1年間で約44億5000万円という数字も伝えられていた。これらの収益規模は、なお捜査で解明が進められている段階のものである。

グループは、特定の暴力団組織のような固定的な構造を持たない「匿名・流動型犯罪グループ」(トクリュウ)に位置づけられている。TBS NEWS DIGも今回、この位置づけに触れている。

摘発の流れを振り返ると、2025年11月に幹部・実行役3人に有罪判決、2026年1月にトップの小畑寛昭被告(41)逮捕、5月に初公判で起訴内容を認め、6月にナンバー2逮捕と会長の再逮捕、そして集金・会計部門の幹部が犯罪収益隠匿の疑いで逮捕――と、捜査は中枢と資金の両面に及んできた。

今回の逮捕は、その延長線上で、組織図の上ではなく実務の側に手が伸びたものである。中枢を落としても、女性に最初に接触する実務担当が残れば、同種のビジネスは別の看板で再生しうる。「やり手のプレーヤー」と呼ばれるほど紹介実績を積んだ個人を立件対象に据えたことは、組織の解体だけでなく、女性を集める機能そのものを止めにいく段階に入ったことを示しているとみられる。

本記事はテレビ朝日系(ANN)、TBS NEWS DIG(JNN)、ABEMA TIMES、琉球朝日放送(QAB)等の報道をもとに構成しています。過去の経緯については、日本経済新聞・時事通信・共同通信・朝日新聞等の既報を参照しています。