事件の概要
警視庁保安課は2026年6月11日までに、海外のアダルトライブ配信サイト「ストリップチャット(Stripchat)」を使ってわいせつな行為を不特定多数の視聴者に見せたとして、公然わいせつの疑いで男女3人を逮捕した。産経新聞、日本テレビなどが報じた。
逮捕されたのは、東京都中野区東中野の無職・新川慎也容疑者(31)、新宿区歌舞伎町の無職・富塚翔星容疑者(27)、川崎市高津区溝口の学校法人非常勤職員・宮島桃子容疑者(22)の3人。報道によると、3人は共謀して2026年4月13日夜、東京・歌舞伎町のホテル客室から同サイトでわいせつな行為を配信し、視聴者に閲覧させた疑いが持たれている。
配信の手口
報道によれば、配信は開始から約30分間が無料で公開され、当初の視聴者は約100人、最大で約8000人が視聴していたとされる。無料時間の経過後は有料配信に切り替え、視聴を続ける利用者には、サイト内で使える暗号資産(トークン)を1分あたり約120円分ずつ支払わせる仕組みだったという。
報道で伝えられている主な数字は以下の通り。
- 配信プラットフォーム:海外のアダルトライブ配信サイト「ストリップチャット」
- 問題とされた配信:2026年4月13日夜、歌舞伎町のホテル客室から
- 視聴者数:無料時は約100人、最大で約8000人
- 課金方式:無料時間(約30分)後に有料化、暗号資産を1分あたり約120円相当ずつ課金
- 当該配信の売上:約100万円とされる
「約1年で200人・1億円」
捜査関係者の話として、主犯格とみられる新川容疑者は2025年6月ごろから2026年6月ごろまでの約1年間にわたり、約200人の女性を出演させて約500回の配信を繰り返し、計約1億円を売り上げたとみられている。富塚容疑者についても、同種の配信で累計約500万円を売り上げたとする報道がある。
なお、3人の認否について各社の報道では詳しく触れられておらず、現時点で容疑を認めているかどうかは確認できない。配信日について、産経新聞は「今年(2026年)4月13日」と報じる一方、一部報道では時期の表記が異なる部分もあり、細部は今後の捜査・公判で精査される見込みである。
公然わいせつ罪と「不特定多数」
今回適用されたのは、刑法174条の公然わいせつ罪(6カ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金など)である。同罪は「公然と」、すなわち不特定または多数の人が認識できる状態でわいせつな行為をした場合に成立する。
かつては路上やイベント会場など物理的な場所での行為が典型例だったが、近年は最大8000人規模が同時に視聴しうるライブ配信のように、インターネット上の不特定多数に向けた行為も「公然性」を満たすとして摘発の対象になっている。ホテルの一室という密室での行為であっても、生配信を通じて多数の視聴者に届けば公然わいせつにあたる、という整理である。
背景:越境プラットフォームと暗号資産が生む摘発の難しさ
この事件は、性的なコンテンツ配信が抱える二つの構造的な論点を浮き彫りにしている。
第一に、プラットフォームが海外にあるという点だ。「ストリップチャット」のような配信サイトはサーバーや運営主体が国外にあることが多く、日本の規制が直接及びにくい。一方で、配信する側(出演者・運営者)が国内にいれば、行為地が日本である以上、日本の刑法を適用できる。今回の摘発は、サイト本体ではなく国内の出演者・主催者を公然わいせつ罪で立件することで、越境配信にメスを入れた形といえる。
第二に、決済が暗号資産(トークン)で行われている点である。サイト内通貨やトークンを介した課金は資金の流れが追いにくく、誰がどれだけ稼いだのかの把握を難しくする。約1年で約1億円という金額が事実とすれば、こうした配信が一過性の小遣い稼ぎではなく、組織的・継続的な収益事業として運営されていた可能性を示す。
性風俗をめぐる規制は、店舗型からデリバリー型、そしてオンライン配信へと、稼ぎ方の重心が移るたびに後追いを迫られてきた。物理的な「店」を持たないライブ配信は、改正風営法が主眼とする店舗営業の枠組みでは捉えきれず、刑法の公然わいせつ罪が事実上の歯止めとして用いられている。海外サイト・暗号資産・在宅配信という組み合わせが今後も広がるとみられるなか、捜査当局がどこまで実態を追えるかが問われている。
本記事は産経新聞、日本テレビ(NNN)、ライブドアニュース等の報道をもとに構成しています。容疑はいずれも捜査段階のものであり、確定した事実ではありません。