判決の概要
東京地裁は2021年6月9日、強要罪および名誉毀損罪に問われた映像制作会社の元ディレクター・中村隆(37)に対し、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡した。
裁判長は「被告は被害者が断りにくい心理状態を意図的に作り出し、断れば不利益が生じると信じ込ませた。これは実質的な強要に当たる」と認定した。
事件の経緯
被告は「モデルとして活動できる」と被害女性(当時22歳)に声をかけ、撮影を徐々にエスカレートさせる手口を使った。最終的にはアダルトビデオへの出演を求め、断った際には「すでに撮影した動画をばらまく」と脅した。被害女性は精神的に追い詰められ、やむなく出演に同意した。
AV出演強要問題の広がり
AV出演強要問題は2016年以降、被害者支援団体「ぱっぷす」などの活動によって社会的に認知され始めた。その後、国会での議論も活発化し、この時期にはAV新法(AV出演被害防止・救済法)の立法に向けた機運が高まっていた。
弁護士・支援者らは「本判決はAV業界における被害者の自由意思の欠如を認めた点で意義深い。立法につながる司法判断として評価できる」と述べた。
本記事は公開情報および裁判記録をもとに構成しています。