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売春防止法、制定70年で初の抜本見直しへ 「買う側」処罰の是非が最大の焦点

1956年制定の売春防止法を初めて抜本的に見直す法務省の有識者検討会が、議論を本格化させている。現行法が「売る側」の勧誘行為などを摘発対象とする一方で「買う側」を罰しない不均衡をどう正すかが最大の焦点だ。買春処罰を導入する「北欧モデル」、当事者を罰しない「非犯罪化モデル」など各国の制度も参照され、6月に入っても会合が重ねられている。

売春防止法、制定70年で初の抜本見直しへ 「買う側」処罰の是非が最大の焦点

検討会発足の経緯

法務省は2026年3月24日、「売買春に係る規制の在り方に関する検討会」の初会合を開いた。座長は北川佳世子・早稲田大学大学院教授が務める。1956(昭和31)年に制定された売春防止法は、制定から70年を経て初めての抜本的な見直し議論に入った。

報道によると、この見直しの背景には、現行法の枠組みが時代に合わなくなっているとの問題意識がある。高市首相も「必要な検討」を行うよう指示したとされ、政府として規制のあり方を再点検する姿勢を示している。

現行法の「不均衡」という最大の論点

現行の売春防止法は、勧誘や場所の提供など「売る側」やそれを助長する行為を処罰対象とする一方で、「買う側」には処罰規定がない。この非対称をどう是正するかが、検討会の最大の焦点となっている。

委員からは「買う側の勧誘行為についても処罰の要否を検討すべきだ」との意見が出ている。とりわけ、

  • 知的障害や精神障害がある相手
  • 経済的困窮など「売る側の弱さ」につけ込んだ行為

については「処罰が必要」との指摘がある一方、「当事者間の同意に基づく行為への処罰は慎重であるべきだ」という異なる見方も併存しており、結論には至っていない(東京新聞などの報道による)。

「売春」の定義そのものも論点に

5月29日に開かれた第4回会合では、何を「売春」として規制するか、その定義の範囲も議題となった。現行法が想定する性交の範囲をめぐり、性交類似行為(口腔性交など)を含めるべきかが議論されたが、「見解はさまざま」で合意形成は難しく、継続審議となった。

法務省の公開情報によれば、検討会は6月に入っても会合を重ねており、議論はなお途上にある。法改正の時期について、報道では早ければ2026年秋の臨時国会を視野に入れているとされるが、確定したものではない。

参照される各国モデル

検討会では、諸外国の制度も参考にされている。報道で整理されている主な類型は以下の通り。

モデル 内容 採用国(報道による)
北欧モデル 「買う側」のみを処罰 スウェーデン、フランス など
双方処罰 売る側・買う側の双方を処罰 英国、ベルギー など
非犯罪化モデル 成人間の合意に基づく性売買に国家は介入しない ニュージーランド(2003年)、豪州の一部州 など

このうち非犯罪化モデルは、性労働者を「自己決定権を持つ労働者」と位置づけ、通常の労働法の枠内で扱う考え方だ。ニュージーランドが2003年に世界で初めて導入し、警察との信頼関係が改善して暴力被害の通報がしやすくなったと評価する見方がある一方、慎重論も根強い。国連の一部人権機関が非犯罪化を推奨しているとの指摘もある(FRIDAYなどの報道による)。

背景:70年前の法律と現実の乖離

売春防止法が制定された1956年当時、性産業の中心は対面型の店舗だった。しかし現在は、デリバリーヘルスやSNSを介した個人間のやり取り、海外発のライブ配信プラットフォームなど、当時は想定し得なかった形態が広がっている。

近年は、悪質ホストの「売掛金」を背景に女性が性風俗で働かされる問題や、未成年が「個室マッサージ店」などで働かされる事案も社会問題化した。報道では、こうした被害の深刻化が今回の見直し議論を後押しした一因とされる。

一方で、「買う側」の処罰や規制対象の拡大は、当事者の安全や生活への影響と表裏一体でもある。処罰を強めれば取引が地下化し、かえって当事者が支援につながりにくくなる――という懸念は、各国の制度比較でもしばしば指摘されてきた論点だ。

「売る側」だけを罰してきた70年来の枠組みを、誰を・何から守るための法律として再設計するのか。検討会の結論は、性風俗産業の現場とそこで働く人々の双方に大きな影響を及ぼす可能性がある。


本記事は時事通信、東京新聞、沖縄タイムス、FRIDAY(Yahoo!ニュース配信)および法務省の公開情報をもとに構成しています。各国制度や事件の詳細は各報道に依拠しており、確定していない論点は推測を避けて記載しています。