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違法スカウト「ナチュラル」、新宿で勧誘の男ら逮捕 捜査情報漏えい・元警部補の"内通"問題も影を落とす

警視庁は2026年6月、JR新宿駅周辺で女性をキャバクラなどに勧誘したとして、風俗スカウトグループ「ナチュラル」のメンバーとみられる古舘滉太容疑者(23)ら2人を都迷惑防止条例違反の疑いで逮捕した。同庁が昨年6月以降に摘発したナチュラル関連の20代メンバーは計22人に上る。一方、組織をめぐっては、捜査情報を漏らしたとして元警視庁警部補が3月に有罪判決を受けており、6月21日には文春オンラインが「ほかにも内通者がいる可能性」を報道。末端の摘発と並行して、捜査当局への"内通"という根深い問題が浮かび上がっている。

違法スカウト「ナチュラル」、新宿で勧誘の男ら逮捕 捜査情報漏えい・元警部補の"内通"問題も影を落とす

摘発の概要

警視庁保安課などは2026年6月、JR新宿駅周辺で女性に声をかけてキャバクラなどで働くよう勧誘したとして、風俗スカウトグループ「ナチュラル」のメンバーとみられる古舘滉太容疑者(23)=東京都江戸川区=と、新宿区の無職の男(26)の2人を、東京都迷惑防止条例違反(つきまとい・勧誘)の疑いで逮捕した。産経新聞(6月19日配信)、TBS NEWS DIG(同20日配信)などが報じた。

報道によると、同庁が昨年6月以降にナチュラル関連で逮捕した20代の男性メンバーは、これで計22人に上るという。前後して、6月11日にはグループのナンバー2格とされる男(35)も職業安定法違反の疑いで逮捕されており、摘発は組織の中枢から末端のスカウトにまで広く及んでいる。

なお、本記事で扱う固有情報は各報道に基づく捜査段階のものであり、逮捕は容疑の段階にとどまる。起訴・有罪が確定したものではない。

逮捕容疑の内容

報道によると、2人の逮捕容疑は、2026年3月11日と4月8日、新宿区内で歩いていた20代の女性に「キャバクラとかどうかなと思って」などと声をかけ、つきまとって勧誘したとされるもの。その後、女性とLINEを交換し、「スカウトグループの代表をやっています」といった内容のメッセージを送っていた疑いも持たれている。

調べに対し、古舘容疑者は「ナンパをしただけ」として容疑を否認しているとされる。一方、26歳の男は容疑を認めていると報じられている。認否が分かれている点は、今後の捜査・公判で事実関係が確定する。

路上で声をかけ、SNSやメッセージアプリで関係を継続して風俗店などへ橋渡しする――こうした「街頭スカウト」は、ナチュラルのような大型組織が女性を集める入り口にあたる。今回の摘発は、その最前線に当たる部分への取り締まりといえる。

末端から中枢まで――相次ぐ摘発

「ナチュラル」をめぐる捜査は、2026年に入って組織の上から下まで段階的に広がってきた。報道で伝えられている主な経過は次のとおり。

  • 2026年1月――指名手配されていた会長の小畑寛昭被告(41)が逮捕された。
  • 2026年5月――小畑被告の初公判が東京地裁で開かれ、被告はあっせんの起訴内容を認めた。
  • 2026年6月11日――ナンバー2格で運営部門の統括役とされる榎本悠人容疑者(35)が、女性あっせんの疑いで逮捕された。潜伏先の大阪・梅田で確保されたと報じられている。
  • 2026年6月17日まで――会長の小畑被告を職業安定法違反で再逮捕(7回目とされる)。あわせて集金・会計部門の幹部ら2人を、犯罪収益隠匿などの疑いで逮捕。
  • 2026年6月(中旬〜下旬)――新宿で女性を勧誘した末端メンバーら2人を、迷惑防止条例違反の疑いで逮捕。

会長、ナンバー2、集金部門、そして街頭スカウト――組織の各層に捜査が及んでいることがうかがえる。

捜査当局への"内通"――元警部補の情報漏えい

一連の摘発が進む一方で、この組織が捜査の網をくぐり抜けてきた背景として、看過できない問題が明らかになっている。捜査当局の内部から、ナチュラル側へ情報が漏れていた疑いである。

報道によると、警視庁暴力団対策課の元警部補・神保大輔被告(44)は、ナチュラルに捜査情報を漏らしたとして地方公務員法違反(守秘義務違反)の罪に問われ、2026年3月25日、東京地裁で懲役1年6月・執行猶予3年の有罪判決を受けた。日本経済新聞、毎日新聞、時事通信、TBS NEWS DIGなどが報じている。

判決などによると、神保被告は2025年4月と5月、警視庁がナチュラルの関係先に設置した捜査用カメラの撮影画像を組織側に送信し、撮影の場所や範囲を教えた。さらに同年7月には、カメラの設置場所23カ所の住所などを記した一覧表を提供したとされる。動機について被告は「上司のパワハラや、捜査から外されて自暴自棄になった」と説明し、金品の見返りはなかったと主張したと報じられている。判決は、高度な秘密性を持つ捜査情報を繰り返し漏らした責任は重いと指摘した。

捜査用カメラの位置という、摘発の要となる情報が組織側に渡っていたとすれば、ナチュラルが長く取り締まりを免れてきた一因とも考えられる。

「ほかにもいる」との供述と未確認情報

この問題はさらに広がりを見せる可能性がある。6月21日配信の文春オンラインは、神保被告が「自分以外にもナチュラルに情報を流していた者がいる」という趣旨の供述をしていたと報じた。同記事はまた、防犯カメラに元警部補とみられる人物が組織メンバーと行動する様子が映っていたとして、「既に幹部として迎え入れられた可能性が高い」と伝えている。

ただし、この「ほかにも内通者がいる」「幹部として取り込まれた」という部分は、現時点では一社の報道に基づく見立て・推測の段階であり、警視庁が公式に確認したものではない。本記事としては、確定した事実(元警部補の有罪判決とその漏えい内容)と、未確認の指摘とを区別して扱う。捜査当局内部に協力者がさらに存在するのかどうかは、今後の捜査・検証を待つほかない。

背景――「警察対策」まで組み込んだ組織の手強さ

近年摘発が相次ぐ違法スカウトグループに共通するのは、犯罪組織でありながら「会社」のように分業・効率化されている点である。ナチュラルは独自のアプリで女性やスカウトを管理し、契約課・アプリ課・集金部門などに役割を分けて運営していたと報じられてきた。報道では、組織の規模は1500人規模とも2000人規模とも伝えられ、年間で数十億円規模の違法収益を得ていたとされる。

そうした「企業型」の組織が、取り締まる側である警察の内部にまで接点を持っていたとすれば、摘発の難しさは一段と深刻だ。末端のスカウトを何人逮捕しても、捜査情報が筒抜けであれば中枢は逃げ延び、組織は再生産されてしまう。今回、街頭の勧誘役から会長まで幅広く立件が進む一方で、"内通"の問題が浮上したことは、この種の組織犯罪が単なる風俗あっせんにとどまらず、捜査の公正さそのものを脅かす段階に達していることを示している。

2025年6月施行の改正風営法では、性風俗店からスカウトへの紹介料支払い(スカウトバック)が禁止されるなど、入り口の規制も強化された。だが、規制と摘発の効果を担保するには、女性を追い込む借金・生活苦という供給構造への対処に加え、捜査情報を守り抜く当局自身の足元の点検も避けて通れない。ナチュラルをめぐる一連の捜査は、その両面を同時に問うものとなっている。

本記事は産経新聞、TBS NEWS DIG(JNN)、日本経済新聞、毎日新聞、時事通信、文春オンライン等の報道をもとに構成しています。固有の事実は各報道に基づくものであり、容疑者の年齢など報道により表記が分かれる点や、一社のみが伝える未確認の指摘は本文中で留保しています。逮捕は容疑の段階であり、有罪が確定したものではありません。