体験日記 渋谷 ソープ Mirage(ミラージュ)

Mirage(ミラージュ)渋谷体験記——「渋谷で唯一のソープランド」が、なぜ希少性ではなくコスパを売るのか

旧・渋谷角海老が「Mirage」へ改名。掲載文は自ら「渋谷で唯一のソープランド」と書く。増やせない業態で唯一を名乗るなら値札は上を向くはずだが、同じページには「圧倒的コストパフォーマンス」と書いてある。60分20,000円・80分27,000円という二本だけの料金表と、道順文にいまだ残る旧屋号から、この店が何を売っているのかを読む。

Mirage(ミラージュ)渋谷体験記——「渋谷で唯一のソープランド」が、なぜ希少性ではなくコスパを売るのか
谷口
谷口(管理人)この店の掲載文には、普通なら同居しない二つの言葉が並んでいる。「渋谷で唯一のソープランド」と「圧倒的コストパフォーマンス」だ。唯一なら値段は上げられる。それをせずに安さを言う店は、希少性を売っていない。今回はそこから入る。

「渋谷で唯一」は、店ではなく街についての一行

Mirage(ミラージュ) の掲載タイトルは「☆新人さん、続々入店中♪◆Mirage◆渋谷で唯一のソープランド」。別枠には「☆★☆☆渋谷で選ばれる癒しの楽園!厳選キャストが贈る極上のひととき【Mirage】」とある。公式サイトのトップに置かれているコピーは「夢より艶やか。現実より刺激的。」の一行だけだ。

まず「渋谷で唯一」から考えたい。これは自慢に見えて、実は店の話をしていない。ソープランドという業態は、法制度上、新しく増やすことができない。既存の営業所が営業を続けているだけで、更地から一軒建てるという選択肢が業界に存在しないのだ。だから「唯一」は、この店が競争に勝って一軒残ったという意味ではない。渋谷という街に、たまたま一軒だけ残ったという意味である。

吉原や川崎堀之内のように何十軒も並ぶ街なら、店は他店との差で選ばれる。渋谷にはその比較対象がない。比較対象がないということは、客が「渋谷のソープに行こう」と思った時点で行き先が確定するということで、店から見れば競争がないに等しい。

そういう店の値札は、普通、上を向く。ところがこの店は同じ画面で「圧倒的コストパフォーマンス」と書いている。ここが最初の引っかかりだった。

宇田川町31-5——スクランブル交差点から井の頭通り、交番の裏手

住所は東京都渋谷区宇田川町31-5。掲載されているアクセス案内はこう書かれている。

JR渋谷駅東口より徒歩5分。渋谷駅ハチ公口を出て、スクランブル交差点を斜めに渡ってQフロントビルを左に見つつ、直進。井の頭通りに左折し、直進。交番の裏手に角海老の看板が見えます。

一行目で東口と言い、二行目でハチ公口を出ろと言う。東口は駅の反対側だから、この二つは両立しない。実際に歩けるのは二行目のほうで、ハチ公口を出てスクランブル交差点、Qフロント(大型ビジョンのあるビル)を左に見ながら井の頭通りへ、という道順である。センター街の人混みをひとつ外して、井の頭通り沿いに進む。看板の類が視界から減る区間があって、そこを抜けた先に店がある。

この道順文には、もっと大きな引っかかりがある。最後の一文が「角海老の看板が見えます」なのだ。店名はMirageに変わっているのに、目印は旧屋号のまま残っている。

谷口
谷口(管理人)これを「直し忘れ」と読むのは早い。道順の目印は、客が現地で実際に目にするものでなければ機能しない。看板が角海老のままなら、案内文も角海老と書くのが正しい。改名したのはブランドで、建物ではないという当たり前のことが、この一文には出ている。

渋谷という街は、朝から深夜まで人が途切れない。ソープランドという業態は本来、客が「そこへ行く目的」を持って足を運ぶ場所であって、通りすがりで入る店ではない。にもかかわらず、この店は日本で最も通行量の多い交差点から徒歩5分のところにある。街の性格と業態の性格が噛み合っていない立地だが、噛み合っていないからこそ一軒しかないとも言える。

角海老という名を、看板から外した店

公式サイトのロゴの下には小さく「SHIBUYA / KADOEBI GROUP」と入っている。屋号はMirageに変わったが、グループは角海老のままだ。

角海老グループというのは、この業界では通っている名前である。当サイトでは以前、新宿のLounge Yoki東京を扱ったが、あちらは「角海老グループ31店舗の最高峰」という文言を店の紹介文に堂々と据えていた。グループ名を前に出して信用を借りる、というやり方だ。

渋谷のこの店は逆をやっている。前面に出るのはMirageというカタカナでも漢字でもない名前で、角海老はロゴの下に小さく添えられているだけ。同じグループの中で、名前の使い方が正反対になっている。

理由は立地で説明がつくと思う。新宿・歌舞伎町でソープを探す客は、すでにソープの相場も系列も知っている層だ。そこでは「角海老グループ」は説得力になる。一方、渋谷でソープを探す客は、そもそも「渋谷にソープがあるのか」から始まる。この層に対して業界内の系列名は効かないどころか、老舗の重さが敷居として働きかねない。だから軽くて意味の取りやすい横文字にした——という読みだ。

公式サイトの左上に「Language」の切り替えが置かれているのも、同じ方向を向いている。日本語の屋号を捨ててMirageにすることは、多言語で扱いやすい名前にするということでもある。渋谷という街を歩いている人間の内訳を考えれば、これは合理的な判断だ。

60分20,000円・80分27,000円——「TOTAL」の二文字

料金は驚くほど短い。掲載されているのは二行だけである。

コース 料金 分単価
60分(TOTAL) 20,000円 333.3円/分
80分(TOTAL) 27,000円 337.5円/分
指名料 無料

ソープの料金表を読むとき、私が最初に見るのは金額ではなく表記の形だ。この業界には、料金を「入浴料」と「サービス料」に割って掲載する慣行がある。入浴料だけを大きく出して安く見せ、現地で差額が乗る、という見せ方が可能になる形式だ。Mirageの掲載はそれをやらず、コース名の横にわざわざ「TOTAL」と付けている。総額はこれ、と先に言い切っている。

そのうえで指名料が無料。ソープの指名料は2,000〜3,000円が珍しくないから、ここが無料なのは実額として効く。総額表示と指名料無料をセットで置いているという一点だけで、「圧倒的コストパフォーマンス」という自称のうち、少なくとも分かりやすさの部分は本当だと言える。

ただし、割り算をすると妙なことが起きる。20,000÷60=333.3円/分に対し、27,000÷80=337.5円/分。長いコースのほうが単価が高いのだ。差分の20分だけを取り出すと7,000円÷20分=350円/分になる。

長時間コースほど単価が下がるのが料金表の常識だから、これは逆を向いている。二本しかない料金表でこの逆転が起きているのは、おそらく80分を「60分+20分の追加」として設計しているためだろう。60分が主力商品で、80分はその延長線上にある。裏を返せば、この店が売りたい単位は60分だと料金表が言っている。

谷口
谷口(管理人)金額の絶対値より、私はこの二行しかない料金表そのものを評価したい。選択肢が二つなら客は迷わないし、迷わせて上位コースへ誘導する余地も店側に残らない。料金表の行数は、そのまま「客に考えさせる量」だ。ここは最小に振っている。

9時開店と、前日正午からの受付

営業時間は9:00〜24:00、年中無休。受付時間は前日のPM12:00から、当日はAM8:00からと公式サイトに明記されている。

渋谷で朝9時というのは、街の時計とずれている。センター街が動き出す時間ではないし、そもそも渋谷を「朝から遊ぶ街」として使う人間は多くない。それでも9時に開けているのは、この店の客が渋谷の街から流れてくるのではなく、渋谷へ来る用事のついでに寄る、あるいはこの店を目的に来ているからだと考えるのが自然だ。ターミナル駅の徒歩圏で朝から開いているソープ、という条件は、出勤前や移動の合間という時間帯を拾える。

前日正午から予約を受けるという設計も同じ話で、当日思い立って行く店ではなく、前日から段取りを組む店だと店側が想定している。「唯一」の店が予約を前日から受けるのは当然といえば当然で、比較対象がない以上、行けなかった客の受け皿も街の中に存在しない。

実際に選んだのは60分

選んだのは60分20,000円。理由は上の割り算そのままで、80分にすると単価が上がるからだ。80分を選ぶ意味があるのは「20分を7,000円で買う価値がある」と自分で判断できる場合だけで、初回にその判断材料はない。

電話は受付の男性が出た。コースと希望の時間を伝えると、確認は短く済んだ。指名は無料なので、写真を見て一人挙げた。ソープで指名料が無料の店に慣れていないと、ここで「指名するといくら増えるのか」と身構えてしまうが、増えない。この一点だけで、電話の会話が二往復ぶん短くなる。

井の頭通りから入る道は、夜より昼のほうが歩きやすい。センター街の側と違って、この区間は人の流れが素直だ。建物は派手さで押してくるタイプではなく、案内文どおり交番の裏手にあたる。ソープランドという業態にありがちな、通りに対する威圧感が薄い。渋谷という街で目立ちすぎない形に落としているのだと思う。

店内に入ってからの動きは速かった。渋谷という土地柄、客の滞在時間そのものが商品なので、待たせる時間を短く畳む運用になっている。担当は写真と地続きの人だった。ソープで写真と実物の距離が近いというのは、それ自体が店の管理姿勢の話で、掲載写真の作り込みで釣ってから現地で処理する店とは、初対面の数十秒の空気がまるで違う。

60分は、ソープとしては短いほうだ。実際、洗いの丁寧さと本番の時間配分をどちらも取ろうとすると、60分はきっちり使い切る。逆に言えば、このコースは無駄が入る余地がない。20,000円で60分を買ったという実感は、時計を見なくても分かる程度にははっきりしていた。

谷口
谷口(管理人)「唯一」を名乗る店で怖いのは、競争がないぶん手を抜けることだ。渋谷にもう一軒あれば、客は比較して離れる。それがない街で、それでも総額表示と指名料無料を出しているという事実を、私はこの店の一番の判断材料にした。強気に出られる立場で強気に出ていない店は、たいてい理由がある。

まとめ

項目 評価
料金表の分かりやすさ(TOTAL表記・二択のみ) ★★★★★
指名料無料という実額の効き方 ★★★★★
コース設計(80分の単価が60分より高い) ★★☆☆☆
アクセス(ハチ公口から徒歩圏・道順文は要注意) ★★★★☆
営業時間の使い勝手(9:00開店・年中無休) ★★★★☆
リブランドの一貫性(道順文に旧屋号が残る) ★★★☆☆

まとめると、この店は「渋谷で唯一」という希少性を値札に転嫁していない。転嫁できる立場にありながら、総額表示・指名料無料・二択だけの料金表という、むしろ客に優しい側の設計を選んでいる。角海老という業界内の名前を小さく畳んでMirageという軽い名前を前に出したのも、渋谷を歩く層に合わせた同じ方向の判断だろう。

注意点は二つだけ。80分は60分より分単価が高いので、時間を伸ばす明確な理由がないなら60分を選ぶこと。そして道順は掲載文の一行目(東口)ではなく二行目(ハチ公口)に従うこと。この二つを踏まえておけば、渋谷という街でソープに行くという、本来なら成立しないはずの選択肢が、そのまま使える選択肢になる。