「学園」ではなく「学園祭」だという一文字
学園祭(ガクエンサイ) は池袋北口・西口のセクキャバだ。キャッチは「ピチピチ女子大生の張りのあるおっぱい」、看板は業界未経験の素人学生。制服着用。ここまでは池袋に何軒もある学園系の型どおりで、正直、名前を見た瞬間は「またか」と思った。
ただ、店名をもう一度読んで少し考え込んだ。学園系の店はたいてい「学園」「女学園」「学院」を名乗る。通年で続く場所を装うわけだ。ここは「祭」を付けている。祭は非日常で、期日で始まって期日で終わる。実行委員は毎年入れ替わり、終われば片付けて解散する。
これは風俗の学生系という業態の実態を、そのまま名前にしたようなものだ。学生の在籍は長くて数年、実際は数ヶ月で入れ替わる。「学園」を名乗る店はその回転を隠そうとするが、「学園祭」は最初から隠していない。20年見てきて、看板が実態より控えめな店は珍しい。この一点だけで、俺はこの店を検証する気になった。
池袋西口、レスタージュ池袋の5階
所在地は豊島区池袋2-48-2、レスタージュ池袋の5階。各線池袋駅の西口・北口から徒歩2分と案内されている。
池袋北口という言葉には独特の重さがあって、風俗に慣れていない人ほど身構える界隈だ。ただ実際に歩いてみると、駅から2分の距離帯はまだ「駅前の賑わい」の範囲で、もう少し奥に入ってからが本番になる。5階という高さも悪くない。1階の入口に何も出ていない雑居ビルは、路面に看板を張り出す店より入りづらいようでいて、実際は誰にも見られずにエレベーターへ滑り込める。セクキャバはデリヘルと違って「店に入る姿」を人に見られる業態だから、この導線の短さは値段以上に効く。
営業は13時から。年中無休で、終わりは「Last」としか書かれていない。13時開店というのは池袋のこの業態では標準的な部類だが、後述する料金の段差を見ると、この店が本気で売りたいのは夜ではなく昼から夕方までの時間帯だと分かる。
40分10,000円が6,000円になるとき、客が差し出すもの
料金の建て付けはこうだ。通常は40分10,000円、60分15,000円(税・サービス料込み)。ここに新規限定クーポンが乗ると40分6,000円、60分10,000円になる。40%OFFと33%OFFだ。
ただし条件が付く。18時以降はそれぞれ1,000円増し。そして「店頭にて公式メルマガ会員登録必須」。60分のほうには「混雑時はお断りする場合がある」という但し書きもある。
この三つの条件が、店の設計思想を全部語っている。
まず18時以降の+1,000円。これは夜を高くしているのではなく、昼を安くしている。13時開店で夕方までに客を入れたい店の典型的な手だ。学生を看板にしている以上、大学の講義とバイトの都合で昼から夕方に人が集まりやすいという供給側の事情もあるだろう。客としては、安く試したいなら18時前に入るのが合理的で、俺もそうした。
次にメルマガ登録必須。これが本題だ。4,000円の値引きの対価は、現金ではなくメールアドレスである。しかもクーポンの但し書きには「2回目以降のご利用はメルマガ登録でお得に遊べます」とある。つまり初回の値引きは、リピート導線への入場料を客に払わせる仕組みになっている。店から見れば、4,000円で1件の顧客リストと再来店の連絡手段を買っているわけだ。安いか高いかは店の回収率次第だが、少なくとも「なんとなく安い店」ではない。値引きに明確な回収設計がある。
そして60分の「混雑時はお断り」。これは正直な但し書きだが、裏を返せば混む時間帯には短い尺で回したいということでもある。初回に60分で腰を据えたいなら、混む時間を外して電話で確認してから行くほうがいい。
「口コミ投稿割」——値引きを媒体上の評価で買う
もっと露骨なのが、この店が最も大きく掲げている「口コミ投稿割」だ。
内容はこうだ。ヘブンネット上で口コミを投稿し、承認されたら、ALLTIME 40分10,000円(本指名料3,000円込み)で案内する。通常は40分13,000円だから、3,000円引き。有効期限は投稿承認後1ヶ月以内。受付時に投稿画面か割引コードを提示する。
普通、リピーターの割引は回数や来店間隔で組む。ここは違う。リピートの割引条件が「口コミを書くこと」に一本化されている。しかも本指名料込みという設計だから、「好きな子に会いに来るなら、その代金の一部を口コミで払え」という構造になっている。
店のページには口コミ投稿数600件超のバッジが出ていた。この数字の出どころは、たぶんこの仕組みだ。媒体上の口コミ数は検索順位にも一覧での目立ち方にも効く。つまりこの店は、値引き原資を広告費ではなく「媒体上の評価」に直接変換している。3,000円で口コミ1件を買っていると考えれば、媒体に同額の広告を打つより効率がいい可能性は十分ある。
ここで客として考えるべきは二点ある。ひとつ、この店の口コミは「割引と交換に書かれたもの」が相当数含まれるという前提で読むべきだということ。星の数を額面通りに受け取るのは危ない。ふたつ、それでも投稿は承認制で、実際に来店した客が書いている以上、書かれている具体的な事実——受付の対応、席の雰囲気、どの子がどんな接客だったか——の部分は使えるということ。評価は割り引き、事実は拾う。この読み方をすれば、600件は依然として有用な情報源だ。
制服と「S級」表記、そして1ヶ月で7人
在籍のほうを見る。トップに並ぶ女の子は全員が制服姿で、写真の隅に「S級」のラベルが付いていた。セクキャバのランク表記はどの店も自称なので、これ自体に意味はない。見るべきは別のところだ。
新人情報の欄を追うと、直近1ヶ月で7人が入店していた。年齢は18歳から24歳。これは学生系の店としては速い回転で、冒頭に書いた「祭」という店名の正しさを裏づけている。実行委員は毎年入れ替わる。
回転が速いことは、客にとって長所と短所の両方がある。長所は、常に新人がいて「業界未経験のウブな反応」という看板が空文句になりにくいこと。学生系の店で一番つまらないのは、コンセプトだけ学園で中身が完全にプロ化しているケースだ。ここはその心配が薄い。短所は、気に入った子が数ヶ月で消える確率が高いこと。本指名を育てて長く通うタイプの遊び方には向かない。
店のキャッチには「こだわり選んだ制服に身を包んだ可愛い女の子たちに囲まれて、お酒片手にいちゃいちゃ甘い時間を」とある。実際、卓に着いてまず目に入るのは制服の状態だった。学園系で萎えるのは衣装がくたびれているときで、これは客の目に一番わかりやすい手抜きポイントだ。ここはそこを落としていない。制服を「原価」ではなく「商品」として扱っている店だった。
接客のほうは、良くも悪くも学生バイトの延長にある。会話は上手くない。沈黙も出る。ただ、この業態でその不器用さを短所と数えるのは筋が違う。ラウンジの完成された接客が欲しいなら別の業態に行けばいい。ここで買っているのは「慣れていない人間が、慣れていないまま距離を詰めてくる時間」だ。40分という尺は、その不器用さがまだ愛嬌でいられる長さでもある。
この店をどう使うか
整理する。初回は18時前、40分6,000円で入る。メルマガ登録はその場で求められるので、割り切れないなら最初から来ないほうがいい。そこで気に入った子ができたら、口コミを書いて承認を取り、1ヶ月以内に本指名で40分10,000円を使う。この二段だけで、通常13,000円の本指名が10,000円になる。
逆に向かないのは、割引の条件を踏みたくない人だ。メルマガも口コミも嫌なら、この店の料金は通常の40分10,000円・60分15,000円で、池袋の相場の中に埋もれる。この店の価値は割引の設計そのものにあるので、そこを使わないなら選ぶ理由が薄くなる。
まとめ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 立地・入りやすさ | ★★★★☆ 池袋西口・北口から徒歩2分、5階で人目につきにくい |
| 料金の分かりやすさ | ★★★★☆ 通常と割引後が併記されていて、条件も明記 |
| 割引の使い勝手 | ★★★☆☆ 安いが、メルマガ登録と口コミ投稿という対価が要る |
| 在籍・コンセプト整合 | ★★★★☆ 制服の状態が良く、新人の供給で「未経験」看板が空にならない |
| 長く通う相手を作る | ★★☆☆☆ 回転が速く、指名を育てにくい |
結論。「学園祭」は、学園系セクキャバの皮をかぶった顧客リスト獲得マシンである。ただし俺はこれを悪く言わない。値引きの対価を隠さず表に出し、口コミを買っていることまで店頭に貼っている。やっていることは剥き出しだが、剥き出しである以上、客はそれを承知で乗るか降りるかを選べる。
初回6,000円は、池袋でこの業態を試す入口として素直に安い。ただしその6,000円には「あなたのアドレスと、あなたの言葉を後で使わせてもらう」という但し書きが付いている。それを了解した上で座るなら、制服の状態も新人の顔ぶれも、値段以上のものが返ってくる店だ。
そして名前のとおり、ここは祭だ。祭に骨を埋める客はいない。年に何度か寄って、その年の実行委員の顔ぶれを眺めて帰る——そういう距離の取り方が、この店には一番似合う。