「グループ31店舗の最高峰」を名乗る店の、値札の中身
Lounge Yoki東京 は、新宿の高級ソープだ。掲載上のカテゴリは「ソープ(高級/新宿・歌舞伎町)」、営業は10:00〜24:00の14時間。店の紹介文には「角海老グループ31店舗の最高峰」とあり、男性スタッフ募集の文面にはもっと露骨に「グループ一の料金を頂く当店で」と書かれている。
つまりこの店の「最高峰」は、雰囲気の話ではなく序列の宣言だ。31店舗を抱えるグループの中で、いちばん高い値札をつけている店。そう自分で言っている。
では、その値札はいくらか。掲載されている料金システムは驚くほど短い。
- 110分トータル 67,000円
- 90分トータル 55,000円(※AM10時〜AM12時の2時間限定/本指名でのご利用、他割引との併用は不可)
- ご指名・ご予約 無料
これだけである。オプション表も、延長料金表も、入会金の記載もない。高級店にしては情報量が少なすぎるくらいだが、逆に言えば、この3行に店の考え方が全部詰まっているということでもある。
朝の90分を分単価に直すと、110分より高い
まず110分67,000円。これを110で割ると609.1円/分。
次に朝限定の90分55,000円。90で割ると611.1円/分。
差額12,000円という数字だけ見れば、朝枠は明確に安い。だが1分あたりでは、朝枠のほうが2円高い。つまりこれは「朝は割り引きます」という提案ではなく、「朝は短い枠を用意しました」という提案だ。単価は動いていない。ほんのわずかだが、むしろ上がっている。
ここは軽く流さないほうがいい。世の中の風俗店の割引は、大きく2種類に分かれる。ひとつは分単価そのものを下げる本物の値引き。もうひとつは、短い商品を作って総額の敷居だけを下げる「入口商品」だ。後者は値引きではなく、品揃えの追加である。
この店の朝枠は、明確に後者だ。67,000円は出せないが55,000円なら、という客に対して、単価を守ったまま入口を開けている。しかも設定時間はAM10時〜AM12時の2時間限定。開店直後の、放っておけば埋まりにくい枠にだけ短い商品を置いている。回転設計としては極めて合理的で、値付けとしては一歩も譲っていない。
本当に単価が下がる割引は、ひとつしかない
では、この店に単価が下がる仕掛けはないのか。ひとつだけある。8月2日から始まっている「新人割」だ。
条件は、入店から1ヶ月以内の女性が対象で、割引額は7,000円。110分コースの利用に限る。初回の案内のみ適用で、本指名は不可。事前予約時に「新人割」と伝える必要がある。
67,000円から7,000円を引くと60,000円。110で割れば545.5円/分。通常の609円/分から一気に64円落ちる。約10.5%の値下げで、これはこの店で唯一、分単価が本当に動く経路だ。
面白いのは、朝枠と新人割の性格が正反対なことである。朝枠は「総額を下げるが単価は下げない」。新人割は「総額も単価も下げるが、相手を新人に限定する」。前者は時間で、後者は人で入口を作っている。しかも両者は併用できない(朝枠は他割引との併用不可)。値引きの経路をきれいに1本ずつ切り分けて、絶対に交差させない設計だ。
指名料無料の店が、割引だけは「本指名不可」にしている理由
もうひとつ、この料金表で目を引くのが「ご指名・ご予約 無料」の一行だ。
高級ソープで指名料を取らない店は、そう多くない。2,000円から5,000円、店によっては1万円近く上乗せしてくる世界で、ここは明示的に無料と書いている。額面だけ見れば客に優しい。
ところが、朝枠にも新人割にも「本指名は不可」と書かれている。つまり、指名という行為そのものにはお金がかからないが、指名した瞬間に割引の対象からは外れる。
これを客の財布の側から見ると、こうなる。新人割が使える状況で、それでも特定の女性を本指名するなら、実質7,000円を支払っているのと同じだ。指名料という名前の請求書は届かないが、放棄した割引という形で同じ金額を払っている。
俺はこれを、うまい設計だと思っている。「指名料無料」は掲載面で強い言葉になる。一方で、名指しで選ばれる女性の価格は1円も下げなくて済む。値引きの矛先を常に「まだ誰も決めていない客」と「新人」に向けておけば、店の中の価格秩序は崩れない。言葉としては開放的で、運用としては保守的。ブランドを名乗る店の値付けとしては、教科書どおりのやり方だ。
歌舞伎町ソープ一覧に載っているが、住所は新宿二丁目のビル4階
立地の話もしておきたい。掲載カテゴリは「新宿・歌舞伎町ソープ」だが、記載されている住所は東京都新宿区新宿2-19-9、新宿カドビル4F。アクセスは「地下鉄新宿三丁目駅C7出口から徒歩すぐ」。
歌舞伎町ではない。新宿二丁目である。伊勢丹から新宿通りを渡って御苑の方向へ抜けた一帯で、歌舞伎町の客引きとネオンの密度とはまったく違う顔をした街だ。新宿二丁目という地名から連想される街の性格も、歌舞伎町とは別物である。
そして「4F」という表記。吉原のような独立した建物のソープではなく、雑居ビルの上階に入っている形だ。看板で通行人を捕まえる立地ではないし、エレベーターに乗らなければ入口にも辿り着けない。
この立地と、バナーに大書されているキャッチコピー「心安らぐ静寂の隠れ家」は、きれいに一致している。歌舞伎町の喧騒の中で目立つことを選ばず、地下鉄の出口から数十秒の雑居ビルに上がる。通りすがりの客は来ない。来るのは、事前に調べて、決めて、来た客だけだ。67,000円という値札は、その前提の上に乗っている。
在籍30人、口コミ件数のばらつきが示すもの
女の子一覧は30人。表示されている口コミ件数を見ていくと、52件、18件、9件、8件、7件……と続く一方で、「口コミ募集」——つまり0件の表示も7〜8人分ある。
高級店で在籍30人というのは、多すぎず少なすぎずの規模だ。全員を店側が把握できる人数であり、同時に、日によって選択肢が枯れない人数でもある。そのうち4分の1前後が口コミゼロということは、入れ替わりが常時起きているということでもある。8月2日から新人割を始めているのも、この構成と整合する。
客としての実務はこうなる。口コミが50件積み上がっている女性は、当然ながら予約が先に埋まる。指名料は無料なので、狙いが決まっているなら早めにネット予約か電話で押さえるのが正解だ。逆に、まだ誰と決めていないなら、新人割の対象者を確認して60,000円で入るほうが、同じ110分でも単価は10%安い。この店には「なんとなく行って、なんとなく決める」という選択肢が、金額的にいちばん損になるように設計されている。
なお、遅番の人気キャストとして5名の名前が掲載面で押し出されていた。夜の時間帯に強い顔ぶれを別枠で見せているということは、朝と夜で在籍の顔ぶれが入れ替わるということだ。朝枠の90分を検討するなら、その時間に誰が出ているかを出勤情報で先に見ておいたほうがいい。
URLに残る「youkihi」という痕跡
最後に細かい話をひとつ。この店のページURLは /youkihi/ である。楊貴妃だ。
店名は「Lounge Yoki東京」、ロゴはアルファベットの Yoki、バナーは白とクリスタルで統一された、いわゆる中華高級路線からは遠い意匠になっている。だがURLだけは旧来の綴りのまま残っている。
こういう痕跡は業界にはよくある。URLを変えると検索順位も既存客の導線も一度リセットされるので、看板だけ替えて中身の識別子は据え置く。読み手にとって重要なのは、この店が「名前とビジュアルを一度作り直している店」だと分かることだ。白基調の静けさを打ち出す今の見せ方は、比較的新しい主張である可能性が高い。「心安らぐ静寂の隠れ家」というコピーも、新宿二丁目のビル4階という立地も、その作り直しの方向とまっすぐ噛み合っている。
まとめ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 料金表示の明快さ(3行で完結) | ★★★★★ |
| 分単価の割安感(609円/分) | ★★★☆☆ |
| 朝割90分の「お得感」 | ★★☆☆☆ |
| 新人割の実効性(545円/分) | ★★★★☆ |
| 立地・アクセス(新宿三丁目C7直近) | ★★★★★ |
| 指名料無料という設計 | ★★★★☆ |
Lounge Yoki東京を一言でまとめるなら、「値札を一度も下げていない高級店」だ。
朝の90分55,000円は、総額こそ12,000円安いが、分単価では110分67,000円より高い。割引ではなく、短い入口商品である。この店で本当に単価が下がるのは、入店1ヶ月以内の女性を初回案内で選ぶ「新人割」の一本だけで、そこだけが545円/分まで落ちる。指名料は無料と明記されているが、割引はすべて本指名不可なので、名指しで選ぶ客は割引を放棄する形で実質的なプレミアムを払っている。
この構造に文句をつけるつもりはない。むしろ、値引きの経路を1本ずつに絞って交差させない設計は、価格秩序を守る意思がはっきりしていて気持ちがいい。曖昧な「本日限定◯◯円引き」を毎日打つ店より、よほど正直だと思う。
俺の結論はこうだ。この店に行くなら、110分67,000円を基準として先に受け入れること。そのうえで、新人を引く気があるなら新人割で60,000円、時間を短く済ませたいなら朝の90分55,000円、という順で考える。「安く遊ぶ方法」を探しに行く店ではない。歌舞伎町の喧騒を2ブロック外れた雑居ビルの4階で、静かに110分を使う——その使い方に納得できる人向けの一軒だ。