「デリバリー型イメクラ」という言葉の矛盾から始める
吉祥寺発厳選素人イメクラ美少女宅急便 の看板コピーは「厳選素人デリバリー型イメクラの決定版」。バナーには「住みたい街トップクラスの吉祥寺発」「厳選素人! デリバリー型イメクラ」と大書されている。
ここで引っかかるのが「デリバリー型イメクラ」という語だ。イメクラ=イメージクラブは、もともと店舗型の業態である。教室、保健室、電車の車内、面接室。作り込んだ部屋があり、小道具があり、衣装ラックがある。客はその空間に入った瞬間に「別の設定」へ移動する。空間が半分以上の仕事をしてくれるジャンルなのだ。
それをデリバリーでやるということは、空間という最大の装置を捨てるということでもある。届く先は客の自宅か、ホテルの普通の部屋だ。教室でもなければ保健室でもない。にもかかわらず「イメクラ」を名乗るなら、店は空間の代わりになる何かを用意していなければならない。今回はそこを見に行った。
吉祥寺という看板の使い方
まず立地の話から。この店は「吉祥寺発」を前面に出している。派遣エリアは東京都吉祥寺、営業は12:00から翌5:00、年中無休。電話は0422-39-3557で、問い合わせの際は「ヘブン見た」と伝える形式だ。
吉祥寺というのは、風俗の街としては薄い場所である。新宿・池袋・五反田のような集積はないし、そもそも街の空気が違う。井の頭公園と古着屋とライブハウスとサンロード。土日は家族連れとカップルで埋まる。この街に風俗の色はほとんどない。
だからこそ「吉祥寺発」は看板として機能する。店側のコピーも「女の子が住みたい街No.1の吉祥寺で《可愛い女の子》だけを集めてみました!」という書き方で、街のブランドを女の子の質の担保として使っている。論理としては飛躍しているが、狙いは分かる。歌舞伎町の店が「歌舞伎町だから」と言えば猥雑さの記号になるが、吉祥寺は「垢抜けた普通の子」の記号になる。素人系を売る店にとって、これほど相性のいい地名はない。
料金の表記が三系統ある——まず電話で確認すること
正直に書く。このページの料金は、見る場所によって数字が違う。
バナーには「60min 17,000yen」と出ている。一方、店の紹介文にある「シティヘブン限定割引」の欄は「60分18,000円⇒60分16,000円」「90分26,000円⇒90分24,000円」「120分34,000円⇒120分31,000円」という書き方だ。さらにページ右側には「19%OFF 75分21,000円⇒75分17,000円」というクーポンが浮いている。料金表そのものには45分13,000円から240分65,000円までのコース時間が並ぶ。
これはこの店に限った話ではなく、ヘブンネット系の店舗ページでは珍しくない状態だ。バナー画像は作り直しの手間があるので更新が遅れ、テキストの割引欄とクーポンは随時差し替えられる。結果として、同じページ内に世代の違う数字が同居する。
俺の結論はシンプルで、電話で今日の適用額を確認してから予約しろ、である。「ヘブンネット見た」と伝えたうえで、希望コースの時間を言い、指名料と合わせた総額を口頭で言わせる。ここで即答できる店は事務が回っている。もごもごする店は当日精算でも揉める。
ちなみに指名料はネット指名1,000円、本指名2,000円。入会金は無料、交通費も無料と明記されている。デリヘルは「コース料金+指名+交通費+オプション」で最終額が膨らむ業態なので、交通費無料が明記されているのは総額を読みやすくする。ここは素直に評価していい。
コース設計が「箱」の代わりになっているか
本題に戻る。空間を捨てたイメクラが、何で空間の代わりを作っているか。この店の答えは「コース=シチュエーションの設計図」だった。ページに載っているコース説明は、他店の「〇〇コースあります」という一行案内とは明らかに density が違う。
マットコース(オプション5,000円)は「なんと、お客様のご自宅、ホテルにてマットプレイがお楽しみいただけます」「ローションによるお客様と美少女による裸と裸の肉弾戦」と説明され、そのうえで「もちろんローションでご自宅が汚れる心配はありませんので、心ゆくまでご堪能ください」と一文が足されている。この最後の一文が重要だ。自宅でマットをやる客が最初に不安になるのは、間違いなく「部屋が汚れないか」である。そこに先回りして答えている。運用を分かっている人間が書いた文章だ。
恋人コースは「たわいもない話をしていると、しばし静寂を待っていたかのように、二人は時を合わせて抱きしめあい、舌を絡ませプレイに…」「プレイ終了後は膝枕や腕枕で『にゃんにゃん』と、恋人気分でプレイを楽しんでいただけます」。
痴女コースは「S痴女」「M痴女」を分けて用意し、女の子が積極的に責める構成であると明記している。この「S痴女/M痴女」の切り分けは地味だが実務的だ。痴女プレイを頼んだのに、ただ強気なだけの子が来て噛み合わない、という事故はよくある。攻めのトーンを二択で選ばせておけば、その事故は減る。
つまりこの店は、部屋で作るはずだった設定を、予約時点の選択肢として言語化することで代替している。箱の代わりが「注文書」なのだ。これは筋の通ったやり方だと思う。
夜這いコースは、デリバリーだからこそ強い
コースの中で一つだけ、明確に「店舗型より優れている」と言えるものがあった。夜這いコースだ。
説明はこうなっている。「静かに眠る女の子」に対し、客がそっとコスチュームをまくりあげ、乳首に口を添える。徐々に手が下へ伸び、吐息が荒くなり始める。アイマスクをさせたまま責める、という設定だ。
店舗型のイメクラでこれをやると、どうしても「作り物の寝室」でやることになる。だが自宅やホテルのベッドは、本物の寝床である。客の生活の匂いがする空間に、寝ている設定の女の子がいる。この設定に限っては、デリバリーであることがハンデではなく武器になる。
イメクラの多くの設定——教室、電車、面接室——はデリバリーに移すと嘘くさくなる。逆に「寝室」「同棲している部屋」といった生活圏の設定は、デリバリーの方が説得力が出る。この店のコース構成が恋人・夜這い・痴女・マットに寄っているのは、その取捨選択を分かってやっているように見えた。教室ものや電車ものを無理に並べていないのは、むしろ誠実さの表れだ。
コスプレが1,000円のオプションであることをどう見るか
一点、看板と料金体系のあいだで引っかかった部分がある。この店はイメクラを名乗り、「たくさんのコスチューム」を売りにしている。にもかかわらず、コスプレはオプション1,000円だ。
これをケチだと取る人はいるだろう。イメクラを名乗るならコスプレは基本料金に含めろ、という理屈は分かる。ただ、俺は逆に見た。
オプション表を見ると、パンスト1,000円、コスプレ1,000円、飛びっこ2,000円、ボディストッキング2,000円、電マ3,000円、バイブ3,000円、オナニー鑑賞3,000円、マットコース5,000円、顔射5,000円、AF10,000円という並びだ。この中でコスプレが最安帯に置かれている。つまり「使わせたい」価格設定なのだ。コースの60分1万円台に対して1,000円は、事実上の心理的ハードル除去である。
もし衣装を基本料金に含めると、その分がコース単価に乗る。コスプレを使わない客からも徴収することになる。1,000円で切り出しておけば、使う客だけが払う。合理的な分け方だと思う。むしろ問題は、衣装の在庫状況を受付が把握しているかどうかだ。俺はここを電話で確認した。希望の系統を伝えたら、その子が対応できるかどうかを確認したうえで折り返してきた。在庫を把握していない店は「たぶん大丈夫です」で流す。折り返してきた時点で、この店の受付は一段上だと判断した。
実際に呼んでみた
呼んだのは平日の夕方。事前に伝えた希望に沿って、コンセプト通りの若い素人寄りの子が来た。派手さで押すタイプではなく、街ですれ違ってもキャバ嬢には見えないだろう、という種類の可愛さ。「厳選素人」という看板の解像度としては、看板に嘘はないという印象だった。
イメクラ系で一番怖いのは、女の子が設定を共有していないケースである。客が設定に入っているのに、女の子は普通のデリヘルのつもりで来る。この温度差は最悪で、一度ズレると60分では戻せない。
その点、事前に伝えた設定は当日きちんと共有されていた。部屋に入ってからの入り方が、設定を前提にした入り方だった。これは女の子個人の力量というより、店から女の子への申し送りが機能しているということだ。デリバリーでイメクラをやる店の生命線は、まさにこの伝言ゲームの精度にある。空間が助けてくれない以上、女の子が設定を持ってこなければ何も始まらない。
会話の運びは滑らかとは言えない。ベテランのような余裕はないし、間が空く場面もある。ただ、このジャンルではそれが欠点にならない。むしろ完成された接客は「素人」の看板を壊す。たどたどしさが世界観の側に転ぶ稀有なジャンルなので、店がそこを理解して人を選んでいるかどうかが全てだ。ここは理解している側だった。
まとめ
| 項目 | 評価 |
|---|---|
| 「デリバリー型イメクラ」の理屈の通り方 | ★★★★☆ |
| コース説明の作り込み・具体性 | ★★★★★ |
| 設定の申し送り精度(受付→女の子) | ★★★★☆ |
| 「厳選素人」看板と実態の一致 | ★★★★☆ |
| 料金表記の分かりやすさ | ★★☆☆☆ |
| 総額の読みやすさ(入会金・交通費無料) | ★★★★☆ |
箱のないイメクラという矛盾を、この店は「コースという注文書」で埋めていた。しかも埋め方が的確で、デリバリーに移して嘘くさくなる設定を並べず、寝室系・恋人系という生活圏の設定に寄せている。取捨選択ができている店だ。夜這いコースに至っては、店舗型より説得力があるとすら思う。
減点はページの料金表記に尽きる。バナー・割引欄・クーポンで数字が三系統走っているのは、初見の客には不親切だ。ここだけは電話で潰してから予約してほしい。逆に言えば、電話一本で潰せる欠点である。
吉祥寺という風俗の薄い街で、イメクラという古いジャンルを配達の形に組み直している。企画としては真っ当だし、実際に届いたものも看板から大きく外れていなかった。シチュエーションもので遊びたいが、店舗型の箱までは求めていない——そういう人には勧められる一軒だ。